AirbnbやOTAで“宿泊者スコア”が蓄積中──知られざる評価システムの裏側

「宿泊施設=サービス提供者」「宿泊者=お客様」だけの時代は終わった
これまで、ホテル・旅館・民泊などの宿泊業界では、「お客様は神様」といった考えが根強くありました。
しかし、現在の宿泊業界は大きく変わりつつあります。
以前は宿泊施設ばかりが評価され、レビューで点数や評判を左右される一方でした。
しかし、今や**「宿泊者自身も評価される時代」**が静かに、そして確実に始まっています。
OTA(宿泊予約サイト)では、宿泊者評価が“水面下”で進行中
Booking.com、Airbnb等の大手OTAでは、実は表に出ない形で**“宿泊者の評価や記録”が内部的に蓄積されています**。
これは以下のような目的のためです:
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トラブルの多い利用者の記録管理
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施設側からの報告に基づくブラックリスト化
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宿泊者の予約承認の可否判断(Airbnbなど)
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悪質利用者への自動制限やアカウント凍結
表向きには「お客様のプライバシーを尊重している」というスタンスを取りながらも、施設からの報告によって利用者の“信頼スコア”が裏で存在しているというのが現状です。
どんな宿泊者が“水面下で記録されている”のか?
以下のような行動は、ほぼすべてのプラットフォームで「報告対象」となっています。
▼ 記録・報告されやすい行為
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無断キャンセル、当日ドタキャンの繰り返し
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施設内での破損・汚損・備品持ち帰り
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騒音トラブルや近隣住民からの苦情
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清掃が必要以上に大変だった(ゴミの放置、汚物など)
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過剰なクレーム・スタッフへの暴言
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虚偽の理由での返金要求
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評価を盾にした脅迫的言動(例:「星1をつけるぞ」)
これらの情報は、宿泊施設側からプラットフォームへ「内部報告」として提出される形が一般的です。
その結果、同じ宿泊者が次の施設で予約しようとした際に“拒否される”こともあります。
Airbnbでは「宿泊者のレビュー」が表面化している
Airbnbではすでに、**宿泊者とホストが“お互いを評価する仕組み”**が取り入れられています。
宿泊者のマナーやコミュニケーション、ルール遵守などが評価され、ホスト(施設側)が「もうこの人には貸したくない」と判断する材料になります。
結果的に、評価が悪い宿泊者は予約承認が通らなくなる、または検索結果に出づらくなるなどの影響が出ています。
つまり、「宿を選ぶ」だけでなく「選ばれる」時代になってきているということです。
施設にも「守るべきルール」があるように、宿泊者にも責任がある
民泊や貸別荘は、ホテルとは違い、オーナーや管理者が直接運営している場合が多く、スタッフの人数も限られています。
そんな中で、以下のような行動は施設に深刻な負担や損害を与える可能性があります:
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ゴミの分別を無視して大量放置
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許可のない人数の宿泊
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禁煙ルールの無視
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鍵の返却忘れ・備品の持ち帰り
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近隣住民とのトラブル
「お金を払って泊まっているんだからいいだろう」といった感覚は、今の時代では非常に危険な考え方です。
お互いに敬意とモラルを持って利用することが、信頼のスコアを築きます。
“口コミで脅す”行為は逆効果になることも
「返金してくれないなら悪いレビューを書く」
「今後の対応次第で評価を変える」
「星1をつけたければつけるよ?」
こうした言動は、施設側にとっては「脅迫」とも取られかねません。
実際、プラットフォームによってはこのような行動が明確な“ガイドライン違反”として処理されるケースもあります。
さらに悪質と判断されれば、プラットフォーム側でアカウント停止、予約制限、ブラックリスト化が行われる場合もあります。
まとめ:宿泊は“評価し合う関係”へ。共に気持ちの良い滞在を目指そう
今や宿泊体験は、「サービスを受けるだけの一方通行」ではなく、「提供と受け取りの双方向」で評価される関係性になってきています。
宿泊施設が守るべきこと | 宿泊者が守るべきこと |
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清潔な施設の提供 | 施設の利用ルールを守る |
丁寧な対応 | 迷惑行為をしない |
適正なポリシー設定 | キャンセル規定などを事前に確認 |
誠実な説明と対応 | 誠実なレビューやフィードバック |
宿泊業界の健全な発展のためにも、宿泊者一人ひとりの意識がとても重要です。
「どうせバレない」「レビューはこっちの自由」と思っていると、意外なところで“評価されている”という現実があることを、ぜひ心に留めておいてください。
施設運営者の皆さまへ:不適切な宿泊者への対応もご相談ください
弊社では、宿泊施設様に向けて以下のようなサポートを行っております:
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悪質な宿泊者に関するプラットフォームへの報告支援
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ブラックリスト管理のアドバイス
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クレームやトラブルへの対応テンプレートの提供
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投稿者の開示請求・法的アドバイス
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「選ばれる宿」になるためのホスピタリティ研修
施設を守るのは、ルールと信頼です。宿泊者にも、それを理解してもらうことが健全な関係構築への第一歩です。