Columnsコラム

予約が入らない民泊が激増中。素人運営が今、なぜ厳しくなっているのか?

目次

    民泊の運営を始めたものの、

    「全然予約が入らない」「思ったより稼げない」

    という声が、近年とても増えています。

    これは一部の話ではなく、全国的に“予約が取れない民泊”が急増しているという現実です。

    旅行者の数は戻ってきているのに、なぜ自分の民泊には予約が来ないのか?

    特に、個人・素人による運営の民泊が苦戦する構造的な理由とは何なのか?

    今回は、筆者自身の運営経験をもとに、今後の民泊経営に必要な視点と対策を、リアルに掘り下げてお伝えします。

    ただ「掲載するだけ」では予約が取れない時代に突入

    かつては、Airbnbなどのプラットフォームに物件を登録するだけで、ある程度の予約が自然と入りました。

    しかし現在は、掲載数の急増・競合の多様化・ゲストの比較力の向上によって、状況は一変しています。

    掲載するだけでは埋もれてしまい、見られることすらない物件が山ほどあるのが現実です。

    旅行者は「写真」「料金」「立地」「レビュー」「対応力」「清潔感」など、あらゆる観点から比較・検索し、数ある宿泊先の中からほんの一部だけを選びます。

    つまり、いまの民泊運営は、

    「どう見せるか」=マーケティング戦略が問われるフェーズに入っているのです。

    Airbnbだけでは集客が足りない

    多くの初心者がやりがちな落とし穴が、Airbnb一択の集客です。

    もちろん、Airbnbは世界的に有名な民泊プラットフォームですが、それだけでは不十分です。特に最近の訪日外国人は、Booking.comやAgoda、Expedia、トリップドットコムなどのホテル系サイトも積極的に利用しています。

    加えて、日本国内の旅行者は楽天トラベルやじゃらんなど国内OTAを好む傾向も強く、Airbnbにしか載っていない物件は、そもそも彼らの検索結果に表示すらされません。

    🔻 結果:「露出が少ない=予約が入らない」状態に。

    素人感がにじみ出ていると、予約は避けられる

    「せっかく個人で運営しているのだから、ホストらしさを前面に出したい」と考える人も多いかもしれません。

    しかし現実は、“個人っぽさ”はむしろマイナスに働く場面が増えています

    旅行者の心理としては、

    • 「鍵の受け渡しが面倒そう…」

    • 「英語が通じなかったらどうしよう…」

    • 「清掃とか大丈夫かな…」

    といった不安を抱きやすく、“プロじゃないっぽさ”=リスクと感じられてしまうのです。

    法令違反が“見える形”で敬遠されるように

    数年前までは、グレーな運営があってもゲスト側の理解が浅く、黙認されていました。

    しかし今は違います。

    旅行者の側にも、**「違法民泊は危ない」**という認識が広がっており、

      • チェックインマニュアルが送られてこない

      • 宿泊者名簿の提出が不要と書かれている

    一方、法令を順守し、しっかり運営されている民泊は、レビューでも高評価を得やすく、結果的に予約率の向上・単価アップにもつながるという好循環が生まれます。

    キャンペーンやプライシングの知識がないと勝てない

    特に重要なのがここです。

    最近の民泊は、「キャンペーン・プロモーション・動的プライシング」の3つがないと、本当に予約が取れません。

    ✅ キャンペーンの具体例:

    • 連泊割引(3泊以上で10%オフ)

    • 直前予約割引

    • 新規掲載キャンペーン(初月限定で20%OFF)

    ✅ プライシングの調整:

    • 平日・週末で料金を分ける

    • ハイシーズンは自動で価格が上がる設定

    • 競合の価格に合わせた変動型料金設定

    これらは、経験とデータがないと非常に難しく、

    **素人が感覚だけで設定しても「高すぎて予約が入らない」または「安すぎて赤字」「先の予約が安く入ってしまった」**といった失敗が起こりがちです。

    「物件を持っている=稼げる」時代は終わった

    今は、物件数が多すぎるため、

    「場所が良ければ勝てる」「部屋がキレイなら勝てる」という単純な時代ではありません

    重要なのは、運営力・集客力・マーケティング力です。

    同じ立地・同じ間取りの物件でも、

    • 写真

    • 料金設定

    • キャンペーン

    • チェックインのしやすさ

    • レスポンス速度

      などの違いで、売上が2倍、3倍変わるのが現代の民泊ビジネスです

    結論:素人運営のままでは厳しい。知識と戦略が求められる時代へ。

    これからの民泊運営は、「趣味の延長」では続けられません。

    以下のような戦略的な取り組みがなければ、

    予約はどんどん取れなくなり、稼げない物件として埋もれていく可能性が高いです

    ✅ 生き残るために必要な視点まとめ

    • マルチチャネル運用: Airbnbだけでなく、複数のOTAに掲載

    • プロっぽい運営体制: 無人チェックイン、迅速な対応、洗練されたマニュアル

    • 法令順守: 届出番号・宿泊者名簿など、基本をしっかり押さえる

    • キャンペーン設計: 割引や特典を戦略的に設定

    • 動的プライシング: 価格調整を自動化し、需給に対応

    • レビューと信頼構築: 最初は価格を下げてでもレビューを獲得

    最後に

    民泊ビジネスは、“簡単に儲かる副業”ではなくなっています。

    今は、「掲載するだけ」ではなく「売る力」が求められる市場です。

    でも、だからこそ、知識と工夫で勝ち抜く余地がある業界でもあります。

    もし「最近予約が入らない」「思ったより苦戦している」と感じているなら、

    一度運営スタイルを見直し、今の時代に合った“民泊の売り方”を再構築してみてはいかがでしょうか?