安さで選んだ民泊代行が予約を壊す──切り替えで後悔する人が急増中の理由とは?

最近、民泊ホストの間である相談が急増しています。
「手数料が安いからと運営代行を変えたら、全然予約が入らなくなった」
「代行会社を変えた途端、収益が激減した」
「写真も説明文も前より適当になった気がするのに、何も言っても動いてくれない」
…こうした声が、特にここ半年で目立ってきているのです。
背景には、“代行切り替えブーム”とでも言うべき風潮があります。
民泊代行、いま「手数料の価格競争」が激化中
特に2025年に入ってから、民泊業界では運営代行会社の価格競争が激しくなっています。
特区民泊の新規受付停止など制度変更をきっかけに、代行業者側も顧客の奪い合いを加速。
10〜15%台という低価格で営業する新興代行も登場し、ホスト側も「今より安くなるなら」と乗り換えを検討するケースが増えています。
しかし、ここに重大な落とし穴があるのです。
「安かろう、悪かろう」──手数料だけで決めると見えないコストが爆発する
筆者が相談を受けたあるホストは、もともと20%の手数料で運営を任せていた会社から「10%でやりますよ」という別の代行会社に切り替えました。表面上は手数料が半分になり、固定費が大幅に削減されるため、収益改善を期待しての決断でした。
ところが、切り替え後の3ヶ月間で予約数は半分以下に激減。売上は30万円以上のマイナスとなりました。焦って元の代行会社に戻そうとしましたが、リスティングの掲載内容はめちゃくちゃで、以前持っていたスーパーホストステータスは失われていました。さらに、写真も勝手に差し替えられており、元に戻すまでにさらに2ヶ月もの時間がかかったのです。
この結果、10%手数料を下げた代わりに数十万円の売上と信頼を失うという事態になりました。
現地対応や夜間対応は別料金で、結局コストは増加
さらに低価格の運営代行会社は運営スキーム自体がしっかり確立されていないケースが多く、現地対応や夜間対応をオプション扱いにして別途料金を請求することがほとんどです。結果として、安い手数料だけで判断すると、
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急なトラブル発生時に追加料金を請求される
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重要な現地対応が有料のため、必要な対応が後回しになりトラブルが拡大
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支払いをしなければ対応をしないなどのトラブルも頻発
など、実質的には手数料以上のコストがかかるケースが非常に多いのです。
運営スキームが未成熟な代行会社は無駄な対応が増える
低価格で運営代行を行う会社は、十分な人員が確保できていなかったり、効率的な運営スキームが確立していない場合が多いです。その結果、夜間の緊急対応が必要以上に発生したり、現地に何度も足を運ばなければならないトラブルが多発してしまいます。こうした「無駄な対応」は代行会社の負担になるだけでなく、ホスト側の負担や追加費用にもつながります。
なぜ予約が入らなくなるのか?──見落とされがちな「見えない品質」
手数料が安い代行会社には、以下のようなリスクが潜んでいます:
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OTA運用スキルが不足している(タイトル・価格調整・キーワード設計が弱い)
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写真や説明文が適当(SEOも意識されていない)
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リスティングが複数サイトで重複し、パフォーマンスが下がる
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レビュー返信が雑で評価が下がる
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レスポンスが遅くキャンセルやトラブルが増える
これらはすべて「予約数」に直結する重要な要素です。
特にプライシングとレビュー管理、カスタマー対応の精度は予約数を大きく左右します。
これが甘い代行業者に当たってしまうと、あなたの物件の価値はどんどん下がっていきます。
予約が落ちる=数ヶ月後の赤字と撤退リスク
予約が落ちるということは、キャッシュフローが悪化するということです。
ローンを組んで物件を保有しているホストにとっては、わずか数ヶ月の予約低迷が命取りになるケースもあります。
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広告費を出してテコ入れ → 赤字拡大
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清掃費・光熱費の固定支出が重くのしかかる
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ステータス失墜で回復に時間がかかる
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オーナーのやる気がなくなり撤退
安易な代行切り替えは、こうした悪循環に繋がるリスクを常に孕んでいます。
まとめ:価格ではなく、「誰がどう動くか」がすべて
民泊運営は不動産投資の中でも、「人」が深く関わるビジネスです。
物件がいくら良くても、運営代行の“腕”と“意識”次第でパフォーマンスは大きく上下します。
だからこそ、
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手数料だけで決めない
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数値と実績で比較する
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担当者のレベルを見る
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切り替えは慎重に、小さくテストから
という当たり前のようで多くの人がスルーしてしまう基本に、いま一度立ち返るべきタイミングにきているのです。