Airbnbトラブルで「日本人CSに変わってもらうべき」たった一つの理由

──運営代行会社が見てきた、“言葉の壁より深い”仲裁のリアル
第1章:今日もまた通知音が鳴る。
「ゲストから報告があります」——ああ、今日も平和は長く続かなかった。
私は大阪を拠点に、民泊の運営代行をしている会社の管理者。
日々、何十組もの予約を管理し、チェックイン案内を送り、掃除を調整し、そして——トラブル対応もする。
ゲストからの報告内容は実に多彩だ。
「シャワーが冷たい」「匂いがする」「イスが壊れてた(いや壊したよね?)」
そしてこの「壊れてた問題」が来た日、私のPCにAirbnbからの英語メールが届いた。
“Hi, I’ll be mediating your case today.”
(こんにちは!今日の仲裁を担当します。)
このメールが、地獄の入り口だと知ったのは、この数時間後だった。
第2章:Airbnb仲裁の“見えない構造”——先に動いた方が有利
Airbnbの仲裁は、実は先に問い合わせた方の言語が主導権を握る。
つまり、ゲストが英語で連絡すれば英語ネイティブの担当がつく。
中国語なら中国語CS、韓国語なら韓国語CS。
この時点で、ホスト(日本の運営側)は土俵の外にいる。
なぜなら、仲裁担当はその言語の文化的感覚での判断が少なからずあるからだ。
「I’m very disappointed」「My child cried」なんて書かれたら、
彼らの中で“被害者スイッチ”が入る。
そして私たちの
“We cleaned the room properly.”
という主張は、味気ない報告文に見えてしまう。
第3章:英語で戦うと、なぜか“冷たい人”になる不思議
私たち運営側は常に冷静でいようと努力する。
でも、英語で説明するとどこかトーンが硬くなる。
「Please check the attached photo」
「We already informed the guest before check-in」
事実を述べているだけなのに、
相手には“防御的”“非協力的”に映る。
英語という言語は、少しの言い回しで印象が変わる。
つまり、内容より“伝え方”で負けることがあるのだ。
第4章:ゲスト優位に見える“Airbnbのシステム的仕組み”
Airbnbは“ゲスト体験”を最優先に設計されている。
それは理解できる。旅行者を守る仕組みがあってこそ信頼が生まれる。
でも、実際の現場ではこうだ。
-
英語圏ゲストが「smell」や「dirty」と書くだけで調査開始
-
写真付きで説明しても「can’t verify」で却下
-
日本的な“丁寧すぎる表現”が「責任回避」に見られる
つまり、ホスト側が誠実であればあるほど、伝わらなくなる構造になっている。
第5章:日本人CSの「共感力」は、実務の武器になる
そんな中、私は気づいた。
「担当を日本人CSに変えてもらう」——これが最も確実な改善策だと。
日本人CSは、日本語の行間を読む。
「お手数をおかけしますが」という表現の裏にある、“誠意”を理解する。
そして、写真の撮り方、清掃ルール、民泊特有の現場事情も知っている。
「海外CS」には伝わらない“現場のリアル”を共有できるのだ。
実際、担当を日本語チームに変えた瞬間、
空気が変わることが多い。
「ご提示いただいた証拠を確認しました。ホスト様の説明に合理性がございます。」
この一文を読んだとき、
私は心の中で小さくガッツポーズをした。
第6章:担当変更の伝え方はシンプルでOK
Airbnbのチャット上で、たったこれだけ打てばいい。
「この件は日本語での対応を希望します。日本人スタッフの方に引き継ぎをお願いできますか?」
英語対応中ならこう書けばいい:
“Could you please transfer this case to a Japanese support agent?”
遠慮は不要。
これはクレームではなく、「正確な判断をしてもらうための正当な手段」だ。
第7章:現場からのアドバイス
― これから仲裁を控えるホスト・運営者へ ―
-
感情ではなく、証拠と時系列で語る
感情をぶつけるより、淡々と事実を並べた方が説得力がある。 -
英語で疲れたら、すぐ日本語CSを呼ぶ
翻訳より正確な“ニュアンス共有”ができる。 -
相手を責めず、システムを味方につける
CSは敵ではない。ただ、文化的背景が違うだけ。
第8章:まとめ ― 言葉の壁を越えるには、土俵を変えるしかない
Airbnbの世界では、「伝える」よりも「伝わる」ことが重要。
そして“伝わる環境”を作るのは、運営側の責任でもある。
だからこそ、私たち運営代行の現場では、
トラブルが起きた瞬間に日本語CSへの切り替えを提案する。
なぜなら、それが最も冷静で、最も結果が出る対応だから。
終章:英語の波に飲まれないために
英語での仲裁メールに追われる深夜、
カフェインの切れた頭で「concern」と「claim」の違いを調べながら思う。
——この仕事、異文化理解どころか異世界対応だな、と。
でも、だからこそ面白い。
私たちは「翻訳家」であり、「通訳者」であり、
そして時に「通文化仲裁人」でもある。
今日もまた通知音が鳴る。
「ゲストから報告があります」
はい、どうぞ。
まずは担当を、日本語チームに変えましょう。
本記事に記載の内容は、当社が運営代行の現場で経験した一般的なケースを基にしたものであり、Airbnb社またはその関係者の公式見解を示すものではありません。
記載されている文例や引用は、情報の透明性を目的として掲載したものであり、特定の担当者・部署・ユーザーを特定または非難する意図はございません。
記事内の見解・推察はあくまで筆者個人の意見であり、読者様が実際に対応される際にはAirbnb公式サポートの最新ガイドラインをご確認ください。