旅館業法で運営している民泊や貸別荘に「上乗せ条例」が出されることはありえるのか?

「旅館業法でやっていれば安全」…本当にそう言い切れる?
ここ数年、民泊業界では「住宅宿泊事業法(民泊新法)」よりも
旅館業法で運営する宿が急増している。
理由は明確だ。
-
年間営業日数の制限がない
-
届出ではなく許可制度で信頼性が高い
-
OTA(Airbnb・Booking.comなど)でも上位に表示されやすい
そのため、今では多くのオーナーが「旅館業で取っておけば安心」と考えている。
しかし──
2026年にかけて、“上乗せ条例”が旅館業にも波及する可能性が出てきている。
「上乗せ条例」とは? 自治体が追加で課す“独自ルール”
上乗せ条例とは、
国が定めた法律(旅館業法や住宅宿泊事業法)に対して、
自治体が独自に追加の規制・条件を設ける条例のこと。
たとえば──
-
「○○区では住居専用地域では営業禁止」
-
「営業時には管理者の常駐が必要」
-
「近隣説明会を義務化」
これらはすべて、自治体が「地域環境との調和」を理由に設定している。
これまでは主に「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)」が対象だった。
しかし、2024年後半から東京都や大阪府など一部自治体では、
旅館業許可施設に対しても“追加規制”を検討する動きが見られ始めている。
旅館業にも上乗せ条例が出る“可能性”がある理由
実は、旅館業法そのものは1950年代に制定された古い法律だ。
当時は、ホテル・旅館などの“事業者”を想定しており、
現在のような「民泊型」「別荘型」「戸建て運営」は想定されていなかった。
しかし、いまの旅館業許可施設の約3割が、
実質的には“民泊的スタイル”で運営されている。
住宅地の中にある無人チェックインの貸別荘、
近隣への説明がないままオープンする宿──。
こうした施設が増えるにつれて、自治体側も次のような懸念を持ち始めている。
「旅館業として営業していても、実態は民泊と変わらない」
「法律上はOKでも、地域トラブルが発生している」
この流れの先にあるのが、
「旅館業許可施設に対しても地域ルールを追加する」=上乗せ条例である。
実際に“検討”が始まっている都市もある
現時点(2025年秋)では、全国的な法改正は行われていない。
だが、すでに一部自治体では議会・審議会レベルで
旅館業施設への管理者常駐・説明会義務・騒音規制の強化などが議論されている。
特に、東京23区では
-
新宿区
-
台東区
-
中野区
などが、
「旅館業法を取得した宿泊施設にも地域説明会義務を課すかどうか」
という方向性を検討している。
つまり、“旅館業だから関係ない”とは言えなくなってきているのだ。
なぜ今、旅館業への規制強化が議論されているのか?
理由は単純。
“実態が民泊化している旅館業施設”が急増しているから。
旅館業法上は無人運営も可能だが、
地元住民から見れば「夜中まで騒がしい」「ゴミが放置されている」など、
“民泊トラブル”と何も変わらないように映る。
つまり、法律上の線引きよりも、
「地域でどう見られているか」が規制判断の鍵になっている。
「無人運営」は今後、最も注目されるポイント
特に注目されているのが、
**「無人運営の旅館業施設」**に対する規制強化の可能性。
現時点では、帳場(管理者常駐)の代わりに
リモート対応やオンラインチェックインで運営する宿も多い。
だが今後、
「帳場を義務化」
「夜間の緊急対応要員を設置」
といった、実質的な常駐義務が条例で追加される可能性がある。
これは特に、住宅地や別荘地での貸切運営施設に大きく影響する。
オーナーが今すぐできる“備え”
いまのうちからできる最も重要な対策は、
「法令+運営両面に強い運営会社に委託すること」。
旅館業法の許可を取る行政書士は多いが、
上乗せ条例の情報を追い、自治体ごとに運営を調整できる会社は少ない。
たとえば弊社では、
-
法令チームが各自治体の議会資料・審議会動向を随時チェック
-
現場チームが清掃・説明・近隣対応までフォロー
-
帳場代行(リモート常駐+緊急対応)も自社体制で完備
つまり、**法令変化が起きても即対応できる“体制設計型の運営”**を行っている。
「旅館業だから安全」から「旅館業でも準備が必要」へ
旅館業法で運営しているからといって、
今後もずっと同じ条件で続けられる保証はない。
2026年以降、各自治体が独自の条例を出す動きが現実になれば、
「無人」「住宅地」「騒音リスク」のある宿から順に対象になる可能性がある。
逆に、事前に法令と運営をセットで管理している宿は影響を受けにくい。
