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特区民泊運営実態調査票で落とされる民泊とは?個人オーナーの要注意ポイント

目次

    2025年、大阪市はついに 特区民泊 約7,000施設を対象にした「運営実態調査票」の全数調査 を開始した。

    今回の調査は、単なるアンケートではない。

    言うならば。

    “あなたの民泊、本当に運営する資格ありますか?”

    と行政が正面から問いかける、本格的な“選別”のフェーズに入ったということだ。

    特に危険なのは、

    個人オーナー・小規模民泊・自主管理の宿。

    運営体制が弱い施設は、この調査票の提出段階で“ボロ”が出やすく、

    そのまま 重点監視施設 → 抜き打ち検査 → 行政指導 → 認定取消

    という負のルートに吸い込まれる。

    では──

    どんな民泊が「落とされる民泊」なのか?

    行政が厳しくチェックしている“要注意ポイント10項目”を具体的に解説する。

    宿泊者名簿が取れていない(最重要・即アウト)

    今回の調査で最も厳しく見られるのは 宿泊者名簿の保存状況 だ。

    以下のような状態は全てアウト:

    • 宿泊者名簿の保管がそもそもない

    • パスポート写真が反射していて内容が読めない

    • 氏名・住所・職業が未記入

    • 旅券番号が切れている

    • 塗りつぶしすぎてスタンプ/文字が判別できない

    • 画像がブレて顔写真が不鮮明

    • スマホを斜め撮りして影で半分見えない

    • オンラインフォームで未入力のままチェックインされた

    宿泊者名簿は警察・行政の要請があれば即時提出が義務。

    ここが不備だと 「管理体制が存在しない」=認定取消対象 になる。

    個人オーナーが最もつまずく部分でもある。

    ゴミ収集の契約書がない / 管理写真がない

    大阪市が今回の調査票で新たに強調したのが 廃棄物管理の明確化

    • 収集業者との契約書

    • ゴミ置場の現況写真

    • ゴミの分別ルール表示写真

    • 保管方法の説明

    これらが揃っていない民泊は

    「住環境を悪化させている施設」=重点監視リスト入り。

    特に個人運営で多いのが

    “ゴミ処理をゲスト任せにして放置”

    のパターンで、これがトラブルの8割を生む。

    清掃体制が「知り合い頼み」で証跡がない

    清掃は写真で「実施した証拠」を残す時代。

    しかし個人民泊は

    • 清掃担当が固定されていない

    • 写真を残していない

    • チェックリストが存在しない

    • 場当たり的な対応

    など“運任せ運営”が多い。

    調査票では清掃の体制について細かく問われるため、

    ここがザルだと簡単に落ちる。

    緊急連絡先が「自分のスマホ」しかない

    特区民泊は24時間対応が必須。

    しかし多くの個人オーナーは

    「深夜は寝ている」「早朝は出られない」という運営実態。

    緊急連絡先の実体がない=

    「管理不全施設」と判断される可能性が高い。

    近隣トラブルの履歴がない(=記録していない)

    「トラブルが一度もない」は良いことに思えるかもしれないが、行政から見るとむしろ疑われる。

    なぜなら、

    “記録を残していないだけ”

    というケースが多いためだ。

    • 騒音

    • ゴミ出し

    • 共用部での迷惑行為

    • チェックイン時の問題

    これらの記録がないと、

    「本当に管理しているのか?」と疑われる。

    宿泊者へのルール説明が不十分

    調査票では

    • ハウスルールの掲示

    • ゴミ出しルール

    • 騒音対策

    • 消防設備の説明

    が問われる。

    個人民泊は「Airbnbの説明だけ」など、かなり簡素な案内が多く、

    行政が求めるレベルに達していない。

    消防・設備の点検履歴がない

    特区民泊には必ず消防設備検査が必要。

    しかし個人オーナーは

    • 滞在中に消防点検が入れない

    • 記録を保管していない

    • 消防標識が剥がれている

    • 電池切れの警報器を放置

    などの理由で “実態不良” と判断されやすい。

    施設情報が届出と一致しない(写真・間取り・定員)

    調査票では“届出内容と現況の一致”を確認される。

    • 定員オーバーのベッド数

    • 間取りの変更

    • 設備の増減

    • 無断改装

    • 届出より狭い寝室

    個人運営はこれが非常に多い。

    行政は

    「届出と違う=虚偽の申請」

    として重く扱う。

    多言語対応ができていない

    現実として、特区民泊の利用者は外国人が多い。

    調査票でも

    「外国語による案内体制」

    が問われる。

    英語・中国語・韓国語の対応がなく、

    ゲストがトラブル時に連絡できない状態は、

    “安全に運営できていない施設” と判断される。

    そもそも調査票を出さない(=終了のお知らせ)

    最悪のパターンはこれ。

    大阪市は明確にこう書いている:

    回答のない施設は重点監視施設として扱う

    調査票未提出は完全に“黒”。

    そこから一気に

    行政指導 → 実地検査 → 運営停止

    のターンに入る可能性が高い。

    結論:体制が弱い民泊から淘汰される時代へ

    特区民泊の運営実態調査票は、

    「適正運営のふるい落とし」 だ。

    宿泊者名簿、ゴミ契約、清掃証跡、緊急連絡体制──

    これらをきちんと整えていない民泊は、

    2025年以降確実に生き残れない。

    特に個人オーナーは、

    “なんとなく運営” が通用しない時代に突入した。

    では、どう生き残る?

    答えはシンプル。

    • 体制を整える

    • それが難しいならプロに任せる

    このどちらかしかない。

    民泊はもう“趣味運営”や“空き部屋活用”の段階を超え、

    完全に「宿泊業」としての責任が求められるフェーズ に入った。

    不安に感じたなら、それは正しい。

    そしてその不安は、改善すれば武器になる。