高級民泊が急増中——その裏にある“光と影”とは?増えすぎが招く意外な落とし穴

――海外富裕層は「やはり高級ホテル」を選ぶ。その現実と、増やしすぎの危険性
高級民泊・ラグジュアリー貸別荘。
ここ数年、民泊市場ではこの言葉が“魔法のキーワード”のように使われてきました。
・坪単価の高い物件
・露天風呂、インフィニティプール
・ホテルライクな内装
・1泊10万円、20万円の価格帯
「安売り競争から抜け出せる」
「富裕層を狙えば稼働率は低くても利益が出る」
そんな期待を背負い、高級民泊は全国で急増しています。
しかし――そのブーム、冷静に見る必要があります。
高級民泊が増えた“もっともらしい理由”
まず、高級民泊が増えている理由自体は非常に理解できます。
✔ 単価を上げたい運営者心理
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清掃・人件費・設備コストが上昇
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通常民泊では利益が出にくい
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「だったら単価を上げよう」という発想
✔ インバウンド復活による期待
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円安
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訪日外国人の回復
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「海外富裕層が来るはず」という希望
✔ SNS・インフルエンサーの影響
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映える内装
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一時的な話題性
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「成功事例」が過剰に拡散
ここまでは、自然な流れです。
問題は「その先」を深く考えず、同じエリアに同じような高級民泊が増えすぎていること。
【重要】海外富裕層の多くは「高級民泊」より「高級ホテル」を選ぶ
ここで、運営者が一番見落としがちな事実があります。
海外の富裕層は、基本的に「ホテル思考」
特に欧米・中東・中国の富裕層ほど、
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✔ ブランド力
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✔ コンシェルジュ対応
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✔ 24時間フロント
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✔ セキュリティ
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✔ トラブル時の即時対応
これらを宿泊の前提条件として考えています。
彼らにとって宿泊とは、
「安心を買う行為」
であり、
「オーナーが誰かわからない一軒家」
に泊まることは、
必ずしも“ラグジュアリー”ではありません。
実際に起きている「高級民泊のズレ」
現場では、こんなギャップが頻発しています。
● 価格は高級、体験は民泊
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フロントなし
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鍵トラブル時は電話対応のみ
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夜間は誰も来ない
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騒音・近隣トラブルは自己責任
→ 富裕層はここで違和感を覚える
● 「貸切=贅沢」とは限らない
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セキュリティへの不安
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周辺環境が住宅地
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近隣クレームのリスク
→ 特に家族連れの富裕層ほど、ホテルを選ぶ
高級民泊の“本当のターゲット”は誰か?
実は、高級民泊の主な顧客層は、
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国内富裕層
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企業の研修・合宿
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グループ旅行
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記念日・イベント利用
=「富裕層インバウンド」ではないケースが多い
ここを履き違えると、
「海外富裕層向けに作ったはずなのに、全然来ない」
という事態が起きます。
同じエリアに高級民泊を増やしすぎると何が起きるか
ここが一番危険なポイントです。
① 価格競争が“静かに”始まる
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表向きは高単価
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実際は割引・長期値引き
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OTA裏側での価格崩壊
② 稼働率が読めなくなる
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年に数組しか入らない
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繁忙期に集中
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キャッシュフローが不安定
③ 地域トラブルが加速
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高級=静か、とは限らない
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露天風呂・テラス利用で音が響く
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クレーム増加 → 行政・管理規約が厳格化
④ エリア全体が「民泊警戒地区」に
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苦情件数が一定数を超える
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管理組合・自治体が動く
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規約変更・条例強化
最悪の場合、そのエリア自体で貸別荘ビジネスができなくなる。
高級民泊は「増やせば勝ち」ではない
高級民泊は、
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✔ 作るのにコストがかかる
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✔ 維持費が高い
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✔ トラブル時のダメージが大きい
にもかかわらず、
「周りがやっているから」
「高級なら大丈夫だろう」
という理由だけで増やすのは、極めて危険です。
それでも高級民泊をやるなら、必要な覚悟
もし高級民泊を選ぶなら、最低限必要なのは、
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✔ 明確なターゲット設定(海外富裕層“風”ではダメ)
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✔ ホテル並みの対応体制
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✔ 近隣・地域との徹底的な調整
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✔ 長期視点の資金計画
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✔ 「撤退」も含めた出口戦略
「高級=簡単に儲かる」時代は、すでに終わっています。
まとめ:高級民泊は“武器”にも“地雷”にもなる
高級民泊は、
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正しく設計すれば強力な武器
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間違えれば、重たい地雷
特に、
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海外富裕層の思考を誤解すること
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同一エリアに増やしすぎること
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地域との摩擦を軽視すること
この3つが揃った瞬間、
収益より「しんどさ」が勝ちます。
⚠ 注意書き
本コラムは一般的な市場動向・運営実態をもとに執筆しています。
実際の投資判断・運営方針を決める際は、必ず専門家(不動産・行政書士・運営会社など)へ相談してください。
