Columnsコラム

インフルエンサーを使った民泊PRの落とし穴:期待と現実のギャップ

目次

    近年、SNSの影響力が増すなかで、インフルエンサーを活用した民泊のプロモーションが注目を集めています。InstagramやYouTube、TikTokなどで、民泊施設を紹介する投稿が拡散されることで「一気に集客につながるのでは」と期待するオーナーも少なくありません。

    しかし、インフルエンサーによる宣伝には明るい面だけでなく、見落とされがちな「デメリット」も存在します。今回は、その裏側に迫ります。

    一過性の集客に終わるリスク

    インフルエンサーの投稿は、通常“瞬間風速”的な効果をもたらします。数日~数週間の間にアクセスや予約が急増することもありますが、それが持続するとは限りません。ファンの多くは投稿を見て満足し、必ずしも実際に予約・来訪に至らない場合も多いのです。

    例: 旅行系インフルエンサーが紹介した民泊が一時的に話題になったものの、1ヶ月後にはアクセス数が元に戻っていた、というケースは珍しくありません。

    「期待外れ」の口コミリスク

    インフルエンサーが投稿する写真や動画は、演出された「理想の滞在体験」です。実際の設備や立地、サービスとのギャップがあると、ゲストが「思っていたのと違う」と感じて不満のレビューを残す可能性があります。

    SNS映えする演出が先行すると、リアルな体験との乖離が生じやすく、それが長期的なブランドイメージを損なう原因になります。

    ターゲットのミスマッチ

    インフルエンサーのフォロワー層と民泊施設の想定顧客層がずれていると、いくら宣伝しても予約には結びつきません。例えば、若年層向けのライフスタイルインフルエンサーが紹介しても、ファミリー層や外国人観光客には響かない場合があります。

    プロモーションの方向性を誤ると、かえって無駄な広告費となり、費用対効果が著しく低下します。

    継続的コストの問題

    人気インフルエンサーに依頼するには、数十万円単位の費用がかかることもあります。一度の投稿だけで集客につながらなければ、リターンが見合わない可能性があります。さらに、継続的に複数人へ依頼する場合、そのコストは積み重なります。

    小規模な民泊事業者にとっては、非常にリスクの高い投資と言えるでしょう。

    コントロールできない情報の拡散

    インフルエンサーが自由に表現するスタイルを取る場合、施設の意図とは異なる情報が広まってしまうこともあります。誤解を招く内容が拡散されたり、不適切な行動が話題になると、オーナー側がダメージを受ける恐れもあります。

    さらに、炎上やフォロワーのネガティブ反応が出た場合、修正や削除も困難でリスクが大きくなります。

    結論:インフルエンサー活用は“戦略的に”が鉄則

    インフルエンサーは強力な宣伝ツールになり得ますが、正しく選定し、適切な戦略と連携を図らなければ、かえって逆効果になることもあります。民泊の魅力を「誠実に」「継続的に」伝えていくためには、単発のバズよりも、中長期的なブランディング視点が重要です。

    宣伝に迷ったら、まずは自社の価値を正確に把握し、伝えたい相手にしっかり届く方法を検討することが、遠回りのようで最も確実な道かもしれません。