近年、国内の観光地として人気の高い淡路島、白浜、沖縄。この3つのエリアは豊かな自然環境と観光資源に恵まれており、貸別荘事業においても注目され続けています。しかし、同時に競争は激化し、「今から参入しても遅いのでは？」という懸念も根強いのが実情です。

そこで本稿では、なぜ「遅くない」のか、そしてどのように「質」を追求した投資を行うことで貸別荘事業を成功させ、収益性を高められるのかを詳しく解説します。

 観光市場の現状と潜在力

インバウンドと国内需要の回復・拡大

2020年代に入ってからの新型コロナウイルスの影響で一時的に観光需要は大きく落ち込みましたが、2024年以降は急速に回復しています。特に沖縄はアジア圏からの訪日客が戻りつつあり、観光客数はコロナ前を超える勢いです。

また、国内旅行の需要も増えており、「自然の中で安心して過ごせる貸別荘」という選択肢はむしろ注目度が増しています。淡路島や白浜のような自然豊かなエリアでは、家族やグループでの利用も多く、長期滞在ニーズも高まっています。

「量」から「質」へのシフト

競合の増加と差別化の必要性

確かにこれらの地域には貸別荘や民泊施設が増加し、価格競争も激化しています。ただし、多くの施設は古い建物の再利用や最低限の設備で運営されているケースが多く、顧客満足度には大きなばらつきがあります。

競争優位性を築くためには、単なる宿泊場所の提供にとどまらず、快適性やデザイン性、地域体験の提供など「付加価値」の追求が不可欠です。

 高品質施設投資がもたらす効果

① 顧客単価の向上

設備や内装にこだわった上質な貸別荘は、一般的な宿泊施設より高い宿泊料金を設定できます。実際、洗練されたデザインの別荘や最新の家電、プライベートプールや露天風呂付きの物件は高単価での予約が多い傾向にあります。

② 口コミ・リピート率の向上

宿泊者の満足度が高ければ自然とSNSや口コミでの拡散が増え、集客コストの削減にもつながります。リピーターの獲得も経営安定に重要なポイントです。

③ 長期滞在・オフシーズン対策

質の高い施設は長期滞在ニーズにも応えやすく、特にテレワーク需要の高まりで「仕事と休暇を両立できる環境」としての貸別荘は注目されています。また、オフシーズンでも快適に過ごせる設備投資は稼働率アップに寄与します。

 地域ごとの特徴を活かす

淡路島

淡路島は食材の宝庫として知られ、海産物や農産物の魅力を体験できるプログラムを貸別荘とセットで提案すると効果的です。また、神話や自然散策など観光の幅も広く、地域密着型のサービスが差別化要素になります。

白浜

白浜は温泉地としての強みがあります。温泉付き貸別荘や、温泉施設との連携による特別プラン提供で高い付加価値を創出できます。リラクゼーション体験を売りにしたマーケティングが有効です。

沖縄

沖縄は国内外の観光客が多く、マリンスポーツや伝統文化体験など豊富なアクティビティがあります。地域文化を体験できるガイドツアーや、地元の食材を使った料理教室など、貸別荘滞在の価値を高める企画が収益アップにつながります。

 投資にあたってのポイント

• 物件選び
  
  立地だけでなく建物の構造や将来的なメンテナンスコストも検討。中古物件のリノベーションは初期費用がかかるが、デザイン性や機能性を高めれば競争力アップに直結。

• 設計と内装
  
  プロの設計士やインテリアコーディネーターを起用し、ターゲット層に響く空間作りを。自然光や風通しを活かした快適な空間演出も重要。

• 運営・サービス
  
  清掃やメンテナンスの質は顧客満足の鍵。オンライン予約や問い合わせ対応の効率化、地元スタッフによるきめ細やかなサポート体制の構築も成功のポイント。

まとめ

淡路島・白浜・沖縄の貸別荘市場は、量の競争が激しく見えるものの、質の高い施設をしっかりと作り込むことで、まだまだ収益性の高い事業展開が可能です。観光需要の回復と多様化を背景に、「快適で特別な体験」を提供できる貸別荘こそが生き残り、成功をつかむ鍵となるでしょう。

「もう遅い」という考えは捨て、質への徹底投資で差別化を図ること。これが今後の貸別荘事業の成否を分ける大切なポイントです。