【コラム】民泊運営が赤字でも、あきらめる前に見直すべき2つの選択肢

― 運営委託による再建か、冷静な撤退か ―
民泊事業は「手軽な副収入」としてスタートする方も多いですが、実際には運営の難しさと収支管理のシビアさが問われる“れっきとしたビジネス”です。
中には、「宿泊需要はあるはずなのに、なぜか赤字が続いている」「手間もコストも想像以上にかかる」といった声も多く、特に高額家賃で物件を借りて始めたケースでは、運営が“重荷”になっている人も少なくありません。
そんな中、あらためて問い直したいのが、運営方法の見直しと、“やめる”という選択肢です。
なぜ民泊運営は赤字になるのか?
表面的には「稼働率が悪い」や「価格競争が激しい」などの理由が挙がりますが、赤字が続く民泊の多くには以下のような構造的な問題があります。
● 運営ノウハウが不足している
適切な価格設定ができず、繁忙期に利益を取り逃したり、閑散期に過度な値下げをしていたりするケース。
● OTAでの露出が弱く予約が集まらない
AirbnbやBooking.comなどでの掲載が最適化されておらず、競合に埋もれてしまっている。
● 清掃や備品コストが無駄にかかっている
手配や外注の仕方が効率化されておらず、1回あたりの清掃コストが過剰になっている。
● 高すぎる家賃でスタートしてしまった
物件取得時に「良い立地だから」と高い賃料を払っている場合、利益を出すには相当な稼働率が必要になります。
これらが複合的に絡み合うことで、「頑張って運営しても赤字から抜け出せない」状態に陥るのです。
黒字化の可能性を広げるには、まず運営をプロに任せてみる
赤字の主因が「運営の課題」であるならば、経験豊富な運営会社への委託が最も確実で現実的な対処法です。
委託運営のメリット:
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収益最大化の価格調整
→ イベント時や週末には高単価、閑散期は適正価格で調整。 -
レビュー管理や問い合わせ対応の最適化
→ 対応品質が上がることで評価が改善、予約が増える。 -
清掃・備品補充などの効率的な外注管理
→ コストを下げつつ品質を維持する仕組みが整っている。 -
予約率と単価を同時に上げられる“ノウハウ”がある
→ 一般の個人オーナーには見えない改善点を見つけてくれる。
例えば、現在月20万円の赤字でも、プロが運営することで「稼働率+単価」が改善され、黒字転換するケースは実際に存在します。
特に家賃が適正範囲内であれば、委託手数料を差し引いても十分利益が出るようになります。
ただし、“高すぎる家賃”でスタートした物件は見切りが必要な場合も
民泊が赤字になる最大の理由の一つは、「固定費(家賃)」の高さです。
たとえプロの運営会社に任せても、収支構造そのものが成り立たない物件であれば、黒字化は難しい場合もあります。
たとえば:
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家賃30万円/月の物件で、月売上が35万円程度しか取れない
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清掃・手数料・水光熱を引いたら、毎月赤字が確定
このような場合は、無理に継続するのではなく、早期に運営会社へ相談して「撤退=損切り」の道を選ぶべきです。
優良な運営会社であれば、「この物件は難しいです」と率直にアドバイスしてくれます。
継続が無理なら、「撤退する判断」も立派な経営判断です。
「委託か撤退か」判断するためのアクション
✅ まず運営会社に現状のデータを持って相談する
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収支実績(過去3ヶ月〜半年)
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家賃・清掃費・設備コスト
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稼働率・宿泊単価の推移
✅ 冷静に“損益分岐点”を再計算
運営委託後、どれだけ収益が改善する余地があるかを試算してもらう。
✅ 黒字化の道筋が見えなければ、潔く手放す選択も
結論:感情ではなく「数字」で判断することが、再建・撤退の分かれ道
民泊は魅力的なビジネスである一方で、「思ったより儲からない」「自分では難しかった」という声も多い世界です。
だからこそ、
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もう一度チャンスを見出すために運営会社に委託するのか
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これ以上の損失を避けるために手放すのか
その判断を感情ではなく“数字”と“客観的な視点”で行うことが、事業者として最も重要な姿勢です。
赤字でも、軌道修正は可能です。
でも、方向を見誤れば、損失は広がるばかり。
まずは信頼できる運営会社に、率直に相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。