任せて安心?――小規模運営会社に民泊管理を委託するリスクとは

民泊市場の拡大とともに、物件オーナーが運営を外部に委託する「運営代行サービス」も増えている。特に、副業や不動産投資として民泊を始めるオーナーにとっては、運営を丸ごと任せられる代行会社の存在は頼もしいものに見える。
しかし、その中でも小規模な運営会社にすべてを委ねることには、見えにくいリスクやデメリットが少なからず存在する。
人手不足で対応が追いつかない
小規模な運営会社では、スタッフ数が限られており、清掃・ゲスト対応・緊急対応までを少人数で回しているケースが多い。その結果、トラブル対応や問い合わせへのレスポンスが遅れがちになり、レビュー評価の低下や宿泊者の不満につながることがある。
とくに繁忙期や連休シーズンは、キャパシティオーバーになりやすく、「鍵がない」「チェックインできない」といった基本的な問題が発生することも。
経験・ノウハウの蓄積が乏しい
小規模な代行業者は、新規参入組も多く、まだ十分な運営実績やノウハウを持っていないことがある。そのため、価格設定やOTAでの露出戦略が甘く、せっかくの物件も収益を最大化できないまま終わってしまうリスクがある。
また、行政手続きや法改正への対応も遅れがちで、無許可運営・指導対象となる可能性もゼロではない。
システム面での不備
運営件数が200件程度を超える代行会社は、予約管理・価格調整・清掃スケジューリングなどを一元管理できるシステムを自社開発または導入している。一方で小規模代行業者は、Excelや手作業で管理しているケースも少なくない。このようなアナログ管理では、ミスが起きやすく、複数チャネルでのダブルブッキングや価格の調整ミスが起こりやすい。
トラブル時のリスクが高い
例えば、ゲストによる物損、近隣とのトラブル、緊急時の対応──こういった“万が一”の場面に、小規模な運営会社が適切かつ迅速に動けるとは限らない。「担当者が1人しかおらず、連絡が取れない」「週末は対応できない」といった体制では、オーナーが思わぬ損害を被ることにもなりかねない。
倒産・撤退リスク
市場競争が激化する中、小規模代行会社の廃業・撤退も増加傾向にある。契約を結んでいても、ある日突然サービスが停止し、清掃もゲスト対応も放置されたまま…という事例は実際に起きている。
また、こうした会社では明確な契約書を交わさないまま口約束で運営が始まるケースもあり、責任の所在が不明確になるリスクも高い。
信頼できる運営パートナーを選ぶには
すべての小規模代行会社が悪いわけではない。ただし、「規模が小さい=小回りがきく」「親身に対応してくれる」という期待だけで委託を決めるのは危険だ。
以下の点を確認することが重要である:
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実績とレビュー(他オーナーの声)
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緊急時の対応体制
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利用している管理システムの有無
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契約内容の明文化(責任範囲や対応保証)
終わりに:小規模=リスクではないが、“無警戒”は危険
民泊は立地や物件スペックも重要だが、それを活かすか潰すかは「運営の質」にかかっている。
運営代行を選ぶ際は、費用だけでなく、体制・実績・リスク管理力を冷静に比較し、「任せてよかった」と思えるパートナーを見極めることが求められている。