民泊代行業界に異変──「実はもう限界です」

小規模民泊代行業者からの“水面下の引き継ぎ相談”が急増、事業撤退のフラグとは?
表向きは順調そうに見える。SNSでは運営実績をアピールし、「ホストに寄り添う」スタンスを打ち出す代行会社。しかし、その裏で「もう民泊代行をやめたい」「運営を引き継いでほしい」と、弊社に水面下で相談を持ち込んでくる小規模事業者が急増しています。
民泊市場は再び活況を見せ始め、インバウンド需要も回復傾向にあります。にもかかわらず、小規模代行業者の撤退が相次いでいるのはなぜなのか。
そして、彼らに委託していた物件オーナーの多くが、知らぬ間に“空中分解の危機”にさらされている現実があるのです。
■「運営を引き継いでくれませんか?」
──静かに増える“SOS”の声
ここ数ヶ月、弊社には次のような連絡が立て続けに届いています:
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「現在預かっている数件の物件を、可能であれば引き継いでいただけませんか」
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「これ以上は回しきれないので、ホストさんと直接話をしてもらっても構いません」
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「収益が出ないのと、行政対応が難しすぎて撤退を考えています」
こうした相談は、公式な撤退発表などをせず、静かに業務を終えたいという事業者が多いのが特徴です。
理由はさまざまですが、共通するのは次の3つ:
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日常業務の負担が想定以上に重い(多言語対応、緊急トラブル、清掃・名簿管理)
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収益が代行手数料だけでは持たない(特に1物件〜数物件の委託だけでは限界)
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行政対応の煩雑さに対応できず、指摘・是正が重荷に(名簿・パスポート・報告書類など)
ある代行会社代表は、こんな言葉を漏らしていました:
「もう本当にギリギリで回してます。やめようと思ったら物件があるし、でもこれ以上やっても赤字なので…御社で引き継いでもらえないかと」
■ なぜ“水面下”なのか──撤退を公表できない背景
多くの小規模代行業者が「撤退します」とは公表せず、オーナーに気づかれないようにフェードアウトする形をとっています。
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公表すれば、残っている物件オーナーからの信頼が一気に崩れる
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自社の評判が下がり、別事業への影響が出る
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現在の運営状況が「不適切」と行政に気づかれたくない
そのため、撤退を決意しても“完全にやめきれない”ケースが多く、弊社のような第三者にこっそりと引き継ぎ相談を持ちかけるケースが後を絶ちません。
■ すでに起きている、オーナー不在の“宙ぶらりん物件”
こうした裏事情に巻き込まれているのが、運営委託をしていたオーナーたちです。
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ゲストからの問い合わせに返信がない
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清掃が入らなくなった
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アカウントの稼働が突然停止している
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保健所からの連絡で「名簿提出がされていない」と知らされる
これらは、実際に**「代行業者がすでに実質撤退していた」物件で起きている事例**です。
あるオーナーは言います:
「メッセージの返信が2日来ないので問い合わせたら、『今後は別の会社が引き継ぐ予定です』とだけ。
でもその“別の会社”と連絡が取れない。気づいたら自分の物件が放置されていたんです。」
■ 事業撤退が近い運営代行に見られる“兆候”(フラグ)
弊社では引き継ぎ相談の傾向から、**「撤退が近い代行会社に見られる特徴(フラグ)」**を以下のように整理しています:
🔻 運営継続が難しい代行会社の兆候(撤退フラグ)
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返信・対応が遅くなる/不定期になる
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「今後のプランが未定」と繰り返す
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アカウントの管理画面へのアクセスを制限し始める
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清掃手配が毎回直前、品質も不安定
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運営に関する問い合わせを「後日返す」と言って放置
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保健所や行政対応について質問しても答えられない
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担当者が頻繁に変わる、あるいは実質一人で回している
これらに該当するケースでは、「もう運営できない」ギリギリの状態にあることが多く、突然の撤退リスクも高いと見ています。
■ 私たちにできること──「バトンを確実に受け取る」引き継ぎ体制
弊社では、こうした代行業者からの引き継ぎ相談に対し、オーナーとゲスト、そして物件の安全・信頼性を守ることを最優先に対応しています。
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✅ 保健所への届け出状況を確認・是正対応
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✅ アカウント・写真・レビューの資産を活かした再構築
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✅ ゲスト対応・清掃体制の即時整備
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✅ オーナーへの経過説明と再収益化プランの提案
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✅ やむを得ない場合の一時閉鎖とトラブル回避措置
**「民泊運営のバトンは、途中で落としてはいけない」**というのが私たちの信念です。
■ 結びに:代行事業は“片手間”でできない
民泊代行は、軽く見られがちな業務ですが、実際には行政対応、クレーム処理、夜間窓口体制の労務負担、国際的なホスピタリティが求められる、極めて責任の重い仕事です。
もし運営代行に不安を感じているオーナー様、あるいは自社運営が限界と感じている代行事業者の方がいらっしゃいましたら、どうぞ一度ご相談ください。