「お湯が出ない!」貸別荘での悲劇──電気温水器が絶対にNGな理由

〜 宿泊施設の命取りにもなる“給湯トラブル”の実態 〜
夏の終わり、知人家族と山間の貸別荘を借りたときのことです。大人5人、子ども3人の合計8人。BBQを楽しんで、花火をして、夜はそれぞれ交代でシャワーを浴びる流れでした。最初の2人が浴室から出たあたりまでは順調だったのですが──3人目がシャワーを浴びていた頃、問題が発生しました。
「あれ?お湯が出ないんだけど…」
水圧は出ているのに、お湯にならない。次の人が試しても、やはり水しか出ない。あわててオーナーに電話をしたところ、返ってきた答えはこうでした。
「あー、それ電気温水器なんで、タンクが空になったらしばらくお湯出ません」
私たちは、そこで初めて「電気温水器」がどういうものなのかを知ったのです。
電気温水器とは?貸別荘に向かないワケ
電気温水器とは、深夜電力などを使ってタンクにお湯を貯めておき、それを使うタイプの給湯設備です。一見するとエコで経済的ですが、貸別荘のように「複数人が一度にシャワーを使う環境」には極めて不向きです。
その理由を、具体的に掘り下げてみましょう。
「タンク貯湯式」=お湯が有限
電気温水器には、80L、150L、370Lなどサイズに応じたタンクがあり、お湯はそこから供給されます。問題は、このタンクが使い切ったら終わりということ。
たとえば150Lのタンクは、シャワーならおよそ3〜4人が使える計算です。これを超える人数が連続して入浴すると、当然お湯が足りなくなります。加えて、お湯の回復に1〜2時間かかるのが普通。つまり、一度お湯が切れたら、その後の人は「水シャワー」か「長時間待機」を強いられるのです。
宿泊客は「お湯が出ない」を許さない
貸別荘や民泊で最も怖いのがレビューです。
私たちが経験した貸別荘も、後日レビューを見てみると、他にも「シャワーが冷たい」「お湯が足りない」「家族全員入れない」などのクレームが多数寄せられていました。
宿泊施設で「お湯が出ない」は、致命的なサービス不備。
高評価を維持するために内装を整えたり清掃を徹底したりするオーナーは多いですが、最重要インフラである給湯設備に目が向けられていないケースが非常に多いのです。
電気温水器は回復が遅く、応急対応ができない
ガス給湯器であれば、ボイラーを再点火すればすぐにお湯が出ます。ですが、電気温水器はそうはいきません。
温水器がタンクを再加熱するには数時間かかることもあり、当日中に復旧しない場合もある。一時的な「使いすぎ」でも、その夜の利用者全員が被害を被ることになります。
また、多くの電気温水器はリモート操作ができず、温度調整や確認も現地のみ。オーナーが遠隔地にいる貸別荘では、これも大きなネックです。
初期費用は安いが、運用コストが高い落とし穴
電気温水器は一見すると導入コストが安く見えますが、ランニングコストはそうでもありません。
特に繁忙期や夏場など電力需要が高い時期には、電気代が想定以上にかさむことがあります。電気契約も容量を多く取る必要があり、長期的に見るとガス給湯器の方が経済的というケースも少なくありません。
快適性は“無限供給”が基本
貸別荘や民泊では、ゲストが自宅と同じ、あるいはそれ以上の快適さを期待しています。
それは「いつでもシャワーが使える」「複数人で同時に使っても問題ない」といった、**家庭では当たり前の“快適さ”**です。
つまり、「タンク式」「制限付き」「時間帯制限あり」などの条件は、宿泊施設にはそもそも不向きだと考えるべきなのです。
【結論】貸別荘に電気温水器は絶対にNG。その理由は明白
貸別荘の魅力は「複数人で泊まれる自由さ」にあります。
その自由を奪うのが、まさに電気温水器の“制限付きお湯”なのです。
数名の入浴でシャワーが冷たくなる、1度切れたら何時間も復旧しない、クレームになる、リピートされない──そうしたリスクを抱えるくらいなら、初めからガス給湯器(またはエコキュート上位モデル)を選ぶ方が圧倒的に安全で合理的です。
✅ オーナーのあなたへ:今こそ見直しを
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すでにレビューで「お湯が出ない」などの声が出ていませんか?
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繁忙期に設備トラブルで宿泊客が困ったことはありませんか?
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家庭用スペックで済ませていないですか?
貸別荘は「非日常を提供する場所」。その“当たり前の快適さ”を裏で支えるのが、給湯設備なのです。
「お湯が出ない宿には、誰も戻ってきません。」