Columnsコラム

「緊急駆けつけサービスを頼んだのに意味がなかった」

目次

    民泊・貸別荘オーナーが直面する“委託トラブル”の実態


    「何かあっても業者が駆けつけてくれるから安心」──それ、本当に安心ですか?

    民泊や貸別荘を運営しているオーナーであれば、一度は検討したことがあるはずです。「夜間トラブル対応の外注」、いわゆる夜間緊急駆けつけサービス

    「23時に鍵が開かない」「お湯が出ない」「停電した」──こうしたトラブルが夜間に発生すると、個人オーナーでは対応しきれません。そのため、**「24時間365日駆けつけ」「一次対応おまかせ」**という甘いフレーズに惹かれ、委託契約を結ぶオーナーが増えています。

    しかし、実際には**「頼んだ意味がなかった」という声も多く、トラブルが後を絶ちません。今回は、そんな駆けつけサービスの“対応限界”と“契約上の落とし穴”**について、実際の経験談も交えてお話しします。

    実際にあったトラブル例:対応した「だけ」で、結局丸投げ

    📍 事例1:夜間トイレ詰まりで業者が駆けつけたが…

    「ゲストから22時に『トイレが詰まった』と連絡があり、駆けつけサービスに電話。1時間後に業者が来たが、見ただけで『道具がないので直せない』と言われ、そのまま帰ってしまった。翌朝、結局自分で業者を手配しなおした」

    このケースでは、契約内容に「応急処置のみ対応」「本格修理は別途費用」とあったものの、具体的な作業の範囲は明記されておらず、業者の“判断で対応範囲が決まる”という不透明さが問題になりました。

    よくある「対応範囲外」の内容

    実は、夜間駆けつけサービスが現地で対応できる内容は限定的です。以下のようなケースでは、ほとんどの業者が「一時対応のみ」「対応不可」となります。

    トラブル内容 対応可否 備考
    鍵の紛失・施錠ミス 開錠不可の場合が多く、本人確認・再手配はオーナー依頼
    水漏れ・詰まり 重度の水道修理は不可/道具不足/原因調査まで
    給湯器停止 × 給湯設備の操作は対象外。機種により触れない
    停電・ブレーカー 原因がブレーカーであれば対応可。ただし電気工事不可
    エアコン不調 × 原因特定もできず、翌日対応必須
    火災報知器誤作動 設備によっては対応できず、通報手続きはオーナー任せ

    結局のところ、「現地に行く」ことがサービスの中心であり、“行ったけど何もできませんでした”という対応が実際にはかなり多いのです。

    なぜこうなる? 委託契約の“曖昧さ”が原因

    多くのサービス会社は、契約書や案内でこう書きます:

    「一次対応」「緊急駆けつけ」「必要に応じて対処」

    しかしこの“必要に応じて”や“一次対応”という言葉がクセモノ。これらの言葉は極めて曖昧で、サービスの“限界点”がはっきり明示されていないのです。

    その結果、オーナーと業者の間に「期待値のズレ」が生まれます。オーナーは「現地で直してくれる」と期待するのに対し、業者側は「見に行くだけで終了」。このギャップが、「頼んだ意味がない」トラブルの根源になっているのです。

    実体験談:水漏れトラブルでオーナー対応に逆戻り

    「夜10時すぎ、2階の洗面所から水が漏れて階下にしみてきたとゲストから通報。すぐに駆けつけサービスに連絡して派遣。1時間後に業者が来たが、現場を確認しただけで『専門業者でないと対処できません』とのこと。その場ではタオルで拭いただけ。翌日、私が直接修理業者を手配し、さらにクリーニング費用も発生。意味があったのか…と虚しくなった」

    実は「報告だけ」で1回○千円というケースも多い

    さらに驚くのが、駆けつけたこと自体に費用が発生するケース。

    「実際に作業をしなくても、1回訪問で4,000円〜7,000円」ほど取られるサービスが少なくありません。

    つまり、“何もせず見ただけ”で費用が発生し、問題の本質解決は結局オーナー任せという、非常に割高な構造になっているのです。

    対策:契約前に「ここまで対応できるか」を明文化せよ

    夜間対応サービスが全く無意味とは言いません。あくまで“時間稼ぎ”としての価値はあります。

    しかし、以下のようなポイントを契約前に明確にしておかないと、あとで大きな不満になります。

    ✅ 契約時のチェックポイント

    • 対応できる作業の「具体例」を書面でもらう

    • 現場でできる作業とできない作業をリスト化する

    • 出動費がかかるタイミング(実作業か、訪問のみでも発生か)を確認

    • 利用者(ゲスト)と直接やりとりできるか、オーナーの中継が必要か

    • 修理や復旧が翌日以降になる際の“引き継ぎ方法”を確認

    丸投げは幻想。「対応するのは、結局あなた」

    民泊・貸別荘運営において、夜間のトラブルは必ず起こります。そのとき、外部サービスに頼る選択肢は悪くありませんが、「全部任せきり」は幻想です。

    「オーナーが現地に行けない時間帯に、現場を見て、最低限の応急処置と報告をしてくれる」

    ──これが駆けつけサービスの“現実的な上限”です。

    トラブルの根本解決・判断・責任は、最終的にはオーナーに帰ってくる。それを理解した上で、「委託すればすべて安心」という誤解を捨てることが、失敗しない運営の第一歩です。

     


    「丸ごと委託」で変わる、責任の所在と対応スピード

    こうした問題を根本的に解決する手段として注目されているのが、“民泊運営のフルマネジメント型”会社への一括委託です。いわゆる丸ごと運営代行と呼ばれる形態です。

    📌 丸ごと委託でできること(主な内容)

    業務内容 対応
    予約受付・ゲスト対応

    ○(メール対応・電話対応)

    チェックイン/アウト管理 ○(スマートロック等含む)
    清掃手配・管理 ○(プロ清掃業者と連携)
    備品管理・補充 ○(消耗品の在庫管理含む)
    トラブル対応(昼夜問わず) ○(緊急対応含む)
    レビュー返信・カスタマー対応
    月次レポート・売上管理

    つまり、ゲスト対応〜現場対応〜トラブル処理まで、一気通貫で管理・解決してくれるという点が最大のメリットです。

    オーナーの役割は「報告を待つだけ」

    フルマネジメント型の運営委託では、オーナーは日々の運営から完全に離れた形になります。

    • トラブルがあっても自動で対応・処理され、

    • その後の状況報告と費用通知が届き、

    • 必要な場合だけオーナー判断が求められる。

    つまり、「誰かに任せたのに、結局自分で動く羽目になる」ことがなくなるのです。

    これは副業として運営している方や、遠方から貸別荘を管理している方にとっては、特に大きな安心材料になります。

    よくある誤解:「丸ごと委託は高い」

    確かに、部分委託よりは費用がかかります。フルマネジメントでは一般的に売上歩合(20%~35%)の料金設定が主流です。

    しかし、それによって

    • トラブル時の無駄な出動費用(数千円×回数)

    • 清掃手配の手間や人的コスト

    • 予約ミスやレビュー炎上による機会損失

    がなくなり、結果的に利益が安定化するケースが多いのです。

    特に「運営が苦しくなるきっかけの大半は“対応遅れによる悪レビュー”」なので、それを防げるという意味では、委託費用以上の価値があるといえるでしょう。

    安心を買うなら、“部分”ではなく“全部”を委ねよ

    夜間駆けつけサービスに代表される「部分委託」は、一見便利でも想定以上に“自分の出番”が多いのが現実です。

    トラブルが発生したとき、「誰が責任を持つのか」「誰が最終的に判断するのか」が不明確なままでは、結局オーナー自身が対応に追われることになります。

    その点、“丸ごと任せられる運営会社”であれば、責任の所在が明確で、問題解決までを一気に任せられる。それは単なる「外注」ではなく、あなたの事業パートナーとして機能する存在です。

    最後に:こんなオーナーには「フル委託」がおすすめ

    ✅ 本業が忙しく、運営の細かい対応が難しい

    ✅ 遠方に物件を所有していて現地対応ができない

    ✅ 清掃・備品・レビュー管理など全部を任せたい

    ✅ 夜間の緊急対応に不安がある

    ✅ 安定収益を目指したい、でも手間はかけたくない


    民泊・貸別荘の運営で“手放しで稼げる”は幻想です

    でも、“適切な委託”をすれば、それに限りなく近づくことは可能です。

    部分ではなく、全部を任せることで本当の安心と効率が手に入る

    それが、これからの民泊・貸別荘経営の新しい常識かもしれません。