Columnsコラム

10年民泊業界にいる私が、絶対に個人でやらない本当の理由

目次

    —— 10年この業界に携わってきた私がリアルに感じていること

    ここ数年、民泊や貸別荘を「個人で始める」人が本当に増えています。

    「空き家を活用したい」「副業として稼げそう」「旅が好きだから自分もやってみたい」——そういった声をよく耳にしますし、SNSやYouTubeでは「誰でも簡単に始められる」という空気も手伝って、ハードルが低く感じられているようです。

    でも、民泊業界で2社・合計10年、インテリアコーディネートからOTA掲載、価格戦略(レベニューマネジメント)まで実務でやってきた私から言わせていただくと、絶対に個人ではやりません。やるべきではありません

    その理由は、ただ一つ。

    想像を遥かに超えてしんどいから

    以下で、できるだけリアルにお伝えしていきます。

    想像以上に「しんどい」。これは本当にサービス業です

    民泊や貸別荘は、不動産業ではなくサービス業です。

    これはよく誤解されるポイントですが、「物件を貸すだけ」と思って始めると、ほぼ確実に後悔します。

    実際に必要な業務をざっと並べると:

    • 競争力のあるインテリア設計や備品選び

    • OTA(AirbnbやBooking.comなど)への効果的な掲載

    • 写真撮影、ライティング、レビュー対応

    • 価格調整や季節ごとのレベニューマネジメント

    • 清掃、リネン管理、補充手配

    • トラブル対応(鍵が開かない、電気が点かない、お湯が出ない etc.)

    • 外国語での問い合わせ対応や苦情対応

    • 消防法や条例、届け出などの法的手続き

    これ、全部1人でやるんです。

    「たった1泊数万円万の宿のために、時間も神経も削られるのが現実です。

    プロに任せた方が、結果的に「楽」で「安全」

    私自身、複数の現場で管理代行や運営サポートもしてきましたが、個人運営の物件の多くは、3ヶ月〜半年で限界がきます

    「予約は入るのに、対応が追いつかない」「クレームが怖くてメンタルやられた」「家族や本業に支障が出た」という声、何度も聞いてきました。

    プロに任せれば、対応のスピードや品質が安定しますし、価格設定も市場を見ながら戦略的に動かせます。

    個人で対応し続けるのは、体力的にも精神的にも本当に厳しい

    ノウハウは数ヶ月で身につかない。10年やってても、日々勉強

    「勉強すればできる」「ネットで調べれば何とかなる」と思われがちですが、民泊はそんなに単純じゃありません。

    たとえば:

    • OTAのアルゴリズムが変わると、検索順位が激変

    • 為替の影響で外国人観光客の流れが変わる

    • 近隣に競合物件が増えると、価格が崩れる

    • 清掃業者や委託先の確保も、地域差が激しい

    • 法改正による運営制限(自治体単位でルールが変わる)

    私はこの業界に10年いて、今でも毎日情報を追い続けています

    それくらい「変化が激しく、知識と対応力が必要な仕事」なんです。

    「数ヶ月YouTubeを見ればできる」仕事じゃない。むしろ、素人が手を出すには難しすぎる分野だと私は思っています。

    自分の時間がどんどん奪われていく

    一番痛感しているのがこれです。

    民泊を個人で運営すると、思っている以上にプライベートな時間が奪われます

    • 週末も祝日も問い合わせは来る

    • チェックイン時間に合わせて常に気を張っている

    • 「数時間スマホを見ないだけ」で対応が遅れ、クレームに繋がる

    • 飛行機に乗ることさえ気を使う(通信できない時間が不安)

    • 結果として、自分が旅行に行けない

    これは本当に皮肉な話ですが、「旅人を迎えるための仕事」が、自分自身の旅や生活を奪うことになるんです。

    一緒に始めた友人とも、揉める。いいことなんてない

    「友達と一緒に始めた」というケースもよく見ますが、ほとんどはうまくいきません。

    最初は楽しくスタートしても、

    • 対応回数の不公平(片方だけが動いてる)

    • トラブル発生時の責任の押し付け合い

    • 利益配分の不満

    • クレームに対する姿勢の違い

    こういったことで、関係にヒビが入るのは本当によくある話です。

    たとえ利益が出たとしても、人間関係が壊れたら何の意味もないですよね。

    まとめ:民泊は「副業」でも「楽して儲かる」ものでもない

    個人で民泊や貸別荘をやるのは、確かに自由に見えますし、夢もあるように思えます。

    でもその裏側には、膨大な実務とプレッシャー、時間と労力の消耗があります。

    私はこの業界に10年いて、インテリアから価格設計、運営改善まで全てやってきましたが、それでも「日々勉強」です。

    そんな私が「個人では絶対にやらない」と決めているのは、それだけの理由があります。

    これから民泊を始めようとしている方には、どうかこの現実を知った上判断してほしいと思います。

    うまくやるためには、「誰かに任せる」という選択肢こそが、最も賢い戦略かもしれません。