Columnsコラム

不動産営業の「民泊・貸別荘ビジネス」勧誘に潜む罠

目次

    ― そのセールスマン、自分では本当にやってるの?

    「民泊で不労所得!」という甘い誘い文句の裏で

    「買って民泊しましょう!」「借りて貸別荘にしませんか?」

    こうした営業トークを、一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。昨今、インバウンド回復や地方観光地ブームに乗じて、「空き家を活用して稼げる」「旅館業の免許を取れば貸し出せる」などというセールスが横行しています。

    一見、夢のような提案。けれど、果たしてその営業マン自身は――

    本当に自分で民泊や貸別荘を運営して収益を得ているのでしょうか?

    この問いを突き詰めることが、成功と失敗を分ける分岐点になります。

    なぜ「自分でやってない営業マン」は信用できないのか?

    結論から言えば、自分では民泊や貸別荘を一切運営していない営業マンから提案を受けるのは危険です。なぜなら、彼らのゴールは「物件を売ること」「空き物件を埋めること」であり、あなたが運営で苦しもうが赤字になろうが関係ないからです。

    実際、不動産営業の多くは、自分では運営経験がまったくなく、旅館業の実務も、ゲスト対応も、清掃手配も知りません。

    つまり、「理想だけを語り、現場を知らない人」が、あなたに数百万円〜数千万円の決断を迫ってくるわけです。

    実際にやってる人は、こんな提案をしてくる

    一方で、本当に民泊・貸別荘を運営している営業マンは違います。

    • 自分の所有する物件のAirbnbやBooking.comのリスティングを見せてくれる

    • 稼働率や実際の収支データを開示してくれる

    • 自分が利用している清掃業者・運営代行会社を紹介してくれる

    • そして何より、やめた方がいい」とも言ってくれる

    経験者だからこそ分かる、立地リスク・近隣トラブル・規制問題・閑散期の恐怖・レビュー運用の難しさ

    それらを知ったうえで、メリットもデメリットも語ってくれる相手は、信頼に値します。

    「儲かりますよ!」だけの話には要注意

    私が過去に出会った営業マンの中には、「この物件、今なら月30万円の収益が期待できますよ」と語ってきた人がいました。

    「では、あなたもやっているんですか?」と聞くと、返ってきたのは曖昧な笑顔と話題のすり替え。

    その時点で私は察しました。「これは、売ったら終わりの営業だ」と。

    物件を買わせて、民泊に使わせて、あとは知りません。

    許可が取れるか、稼働率が上がるか、クレームが出るかどうかなんて、営業マンの知ったことではないのです。

    投資として考えるなら、まず「再現性のある人」を選べ

    民泊や貸別荘は、**不動産投資ではなく、「小さな宿泊事業」**です。

    つまり、普通のアパート経営とは違い、収益を上げるには運営ノウハウと手間が必要です。

    だからこそ、提案してくる相手が「本当に再現性のあるモデルを持っているか」は極めて重要。

    • 自分が運営している物件が複数あるか?

    • その中で黒字物件はいくつあるのか?

    • 代行会社との契約条件やコスト構造はどうなっているのか?

    ここまで具体的に答えられない人に乗せられて、軽い気持ちで始めると、

    気づいた時には**「赤字物件+自主管理+近隣トラブル+行政指導」**の沼にハマっていることも珍しくありません。

    まとめ:「物件を売る人」ではなく「共に運営する人」と組もう

    今、民泊や貸別荘ビジネスは、確かにチャンスのある分野です。

    けれどそれは、現場を理解し、運営を共に考えてくれるパートナーと組んだときに初めて成り立つもの。

    つまり、不動産を「売ったら終わり」の人ではなく、

    「自分もやってるから一緒に考えましょう」という人こそが、あなたの成功をサポートしてくれる本物です。

    セールストークの甘い言葉に踊らされる前に、

    「で、あなたは実際にやってるんですか?」と一言聞いてみましょう。

    その反応こそが、信用に値するかどうかの分かれ道です。