「民泊・貸別荘の運営を委託しませんか?」という営業電話に注意

〜本当に“できる”運営会社は、電話営業で顧客を取らない理由〜
民泊や貸別荘の運営を始めてしばらくすると、ある日突然、知らない番号から電話がかかってきます。内容はたいてい、「運営を代行しませんか?」「今の委託先より集客できますよ」といったもの。いわゆるテレアポ営業です。
実はこの「テレアポ」、営業担当者本人に現場経験や宿泊業の深い知識があることはまずありません。かけてきているのは、委託された“電話担当”であり、マニュアルに沿ってトークをしているだけです。つまり、「プロっぽく聞こえる営業トーク」であっても、実際にその会社の運営力や現場理解を示すものではない、ということをまず理解すべきです。
テレアポ担当者に専門性はない
既存のオーナー様の経験談でも、営業電話でかけてきた方に、
「民泊新法の届出代行の対応はしてくれますか?」
「消防設備点検の対応フローはどうなっていますか?」
「レビュー評価が下がったときの具体的な改善提案例は?」
など、運営者として当然気になるポイントを尋ねると、どれもまともに答えられず、「後日、担当から折り返します」と言われるのが常でした。
つまり、テレアポ営業というのは、「運営知識のない人」が「知識のないオーナー」に向けて、「とにかく契約させる」ことを目的にしているケースがほとんどなのです。
本当に知識のある運営者であれば、自ら現場の課題を把握しており、「電話で一方的にアプローチする」のではなく、ニーズを聞き取りながら適切な提案をする姿勢を持っています。
テレアポは“集客方法”で会社の姿勢がわかる
運営会社の営業手法には、その会社の体質が表れます。
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テレアポばかりしている会社:新規契約を「数」でこなしており、運営の質や顧客満足度が二の次
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紹介や口コミやHPで集客している会社:オーナーやゲストの信頼を積み重ねている
「うちに任せれば収益が○○%アップしますよ」といった甘い言葉よりも、その会社がどのようにしてオーナーとつながっているかのほうが、実はよほど信頼の目安になります。
テレアポで顧客獲得する運営会社にありがちなこと
私自身、運営相談や物件選びの支援を行ってきた中で、テレアポ経由で委託した方からのトラブル相談を何度も受けてきました。
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契約前は「高稼働を実現できる」と自信満々だったのに、蓋を開けてみれば月数件しか予約が入らない
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現場を見ていない運営担当者がシステム的な対応しかしない
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清掃やチェックイン対応の品質が安定しない
こういったケースでは、委託を打ち切ろうとすると高額な解約手数料が発生したり、契約書が不明確だったりと、オーナー側が不利になる構造が散見されます。
本当に“できる”会社はテレアポで運営を取らない
そもそも、運営がしっかりできている会社であれば、既存のオーナーからの紹介や、自社サイト、口コミなどで十分に案件が集まります。
民泊や貸別荘の運営は、ただの「代行」ではありません。物件ごとの特性や立地、ターゲットゲスト、清掃手配のオペレーション、レビュー管理など、細やかな対応が求められるからです。そういったノウハウがある会社であれば、わざわざ「電話営業で件数を増やす」という戦略をとる必要がないのです。
むしろ、テレアポにリソースを割いているという時点で、「現場の品質管理やゲスト対応はどうしているのか?」という疑問が浮かびます。
最後に:電話口ではなく、実績と信頼で選ぶ
電話口でいくら“安心そうな声”がしても、それがあなたの大切な資産=物件を任せられるかどうかはまったく別の話です。
電話営業は、プロではない人がプロのふりをしているだけ。
知識ある人間は、テレアポをしません。なぜなら、必要とされるところに自然と依頼が来るからです。
委託先選びで本当に大事なのは、「その人が現場を知っているか」「その会社が結果を出しているか」「過去に任せたオーナーが満足しているか」です。
営業トークではなく、実績と信頼を見て選びましょう。
あなたの物件とブランドを守れるのは、“うまい営業”ではなく、“誠実なパートナー”です。