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実は嫌がられる民泊。近くにホストが住んでいる民泊のリアル

目次

    民泊の運営スタイルにはさまざまな形があります。ホストが遠方からリモートで管理している場合もあれば、同じ建物内あるいは徒歩圏内に住んでいる「近隣常駐型」のホストも存在します。

    一見すると、何かトラブルがあった際にすぐ対応できるという点で、近くにホストがいることは“安心材料”と思われがちです。しかし、実はこの「ホストが近くに住んでいる」という事実を、特に一部の外国人ゲストは“歓迎していない”という声があるのです。

    今回は、ホストが近隣に住んでいる民泊が抱える意外な課題、そしてその対応策について考えてみたいと思います。

    なぜ「近くに住んでいるホスト」が嫌がられるのか?

    1. プライバシーへの不安

    最も多い理由は「監視されているのでは?」というプライバシー面への懸念です。

    民泊はホテルと違い、ゲストが「暮らすように旅する」自由さを期待して予約するケースが多く、そこに「近所にホストが住んでいて、必要があればすぐ来る」と聞くと、「何かあるたびに部屋を覗かれるのでは?」「チェックされているのでは?」と身構えてしまうゲストもいます。

    特に欧米やアジアの若い旅行者にとって、「ホストの存在感が強すぎる」ことは、精神的な距離を縮めすぎてしまい、かえって居心地を悪くしてしまう要因となることも。

    2. 自由にできないというストレス

    ゲストの中には、夜遅くまで友人と騒いだり、パーティー的な使い方を希望する方もいます。

    もちろん施設ルールとしてそういった利用は禁止することはできますが、ホストが近隣に住んでいるというだけで「ちょっとした物音でも苦情が来るかも」と過剰に気を遣い、滞在を楽しめなかったというケースもあります。

    民泊レビューで「ホストが近くに住んでいて安心だった」という声と同じくらい、「自由にできなかった」というネガティブなコメントも見かけます。

    とはいえ…近くに住むホストのメリットも大きい

    ネガティブな面ばかり強調されがちですが、近隣に住んでいるホストには明確なメリットも存在します。

    1. トラブル時の迅速な対応

    鍵の紛失、水漏れ、騒音トラブルなど、民泊では思わぬトラブルが発生することも少なくありません。そうしたとき、現地にすぐ駆けつけられる距離にホストがいるというのは、ゲストにとっても運営側にとっても大きな安心材料です。

    2. 不正利用・迷惑行為の抑止

    近隣住民からのクレームや、施設破損、不正宿泊などを未然に防ぐ意味でも、「ホストが近くにいる」ことは一定の抑止力になります。

    「人の目がある」だけで、非常識な行動を控えるゲストも多いというのは運営現場の実感でもあります。

    3. 地域との調和

    地域住民との良好な関係を築くためにも、ホストが近隣に住んでいることは大きな利点です。「うるさいゲストがいたらすぐ連絡できる」「毎日顔を合わせているホストがちゃんと見てくれている」という信頼関係は、民泊の継続的な運営において非常に重要です。

    信頼を損なわず、うまく距離を取る工夫とは?

    「近くに住んでいること」を理由に不安を与えず、むしろ安心してもらうには、いくつかの工夫が必要です。

    ● 明確な運営ポリシーを提示する

    「ホストは近隣におりますが、チェックイン後にお部屋へ立ち入ることはありません。トラブル時のみ対応させていただきます」など、プライバシーを尊重する方針を明文化し、説明しておくことでゲストの不安を和らげます。

    ● コミュニケーションはオンライン中心に

    緊急時以外の連絡はLINEやメッセージアプリを使うなど、物理的な接触を最小限に抑えることで「監視されている感」を与えずに距離を保つことができます。

    ● 滞在中に“ホストの存在”を押し付けない

    例えば「近くに住んでますので、何かあればすぐお声がけください」といった表現は、親切なようでいて重く感じられることも。

    それよりも「ご滞在中はご自由にお過ごしください。何かあればメッセージでご連絡ください」とした方が、ゲストには安心感があります。

    結論:近くに住んでいることは「安心」にも「ストレス」にもなる

    ホストが近隣に住んでいるという民泊スタイルは、確かに運営効率や地域との連携の面では大きな利点がありますが、その存在感がゲストの“自由”を侵害するように受け取られてしまえば、逆効果になりかねません。

    大切なのは「距離感の取り方」と「透明な説明」

    実際にはその距離をうまく取れるホストこそが、近隣型民泊の成功者と言えるでしょう。