Columnsコラム

保険料を払ってるのに保証外?民泊でよくある失敗例

目次

    一般住宅用の保険ではカバーできない“民泊リスク”を徹底解説

    「火災保険には入ってるから安心」と思っていませんか?

    実は、民泊として物件を運営しているにも関わらず、一般住居用の火災保険しか加入していないケースが非常に多く見られます。これは大きな落とし穴であり、いざという時にまったく補償を受けられない可能性もあります。

    今回は、民泊運営に必要な火災保険の考え方とチェックすべきポイントを、実務の現場からわかりやすく解説します。

    なぜ「一般住宅用の火災保険」はNGなのか?

    民泊物件は、旅館業や特区民泊などの宿泊業としての利用になります。これは住居としての利用とは明確に区別されており、保険契約の前提条件が根本的に異なるのです。

    一般住居用火災保険では、住人やその家族の使用を前提としているため、不特定多数のゲストによる故意・過失による汚損破損や事故は補償の対象外になります。

    たとえば:

    • ゲストがタバコの火でソファを焦がした

    • 飲み会でテレビを倒して壊した

    • 浴室の扉を破損してしまった

    といった日常的に起こり得る事故でも、保険金が一切支払われないケースがほとんどです。

    加入すべきは「企業財産総合保険」

    民泊運営者が加入すべきは、企業財産総合保険です。

    これは、事業用施設を対象とした保険であり、以下のようなリスクに対応できます:

    ✅ ゲストの故意・過失による設備什器の汚損・破損

    → ベッド、家具、家電などの回復費用が補償されます。

    ✅ 次のゲストが宿泊できなくなった場合の休業補償

    → 売上損失をある程度カバー可能。

    ✅ 借家人賠償責任保険(オーナーに対する損害)

    → 建物自体に損害が生じた場合、オーナーに支払う賠償金が補償されます。

    「総合賠償責任保険」も忘れずに!

    もうひとつ重要なのが、総合賠償責任保険です。

    これは、施設側の設備不良などによってゲストが怪我をした場合などに対応できる保険で、次のようなシチュエーションに有効です:

    • 階段の手すりが外れてゲストが転倒

    • 椅子の脚が折れて怪我

    • シャワーの温度が急上昇して火傷

    民泊は「事業」ですから、こういった責任も当然問われます。民泊事業者が抱えるべきリスクをカバーするためには必須の保険と言えるでしょう。

    保険の「過剰契約」にも注意!

    逆に、民泊物件に対して必要以上に高額な補償内容の保険に加入しているケースも見られます。

    • 設備什器の補償額が不相応に高い

    • 借家人賠償額が億単位に設定されている

    • 休業補償が実情とかけ離れている

    こうした「無駄な保証」は、毎年の保険料を大幅に引き上げる要因になります。

    保険は「大きければ安心」ではなく、「事業規模に合った設計がされているか」が重要です。


    結論:火災保険は「事業用・適正補償・過不足なし」が鍵

    民泊事業においては、火災保険=利益を守るための基本インフラです。

    以下の観点から、今一度ご自身の保険内容を確認してみてください:

    • 施設の利用用途(民泊/旅館業/特区民泊)

    • 規模(ワンルーム/一棟/複数拠点)

    • 設備什器の金額

    • 借家人賠償の必要額

    • 適正な休業補償金額

    また、旅館業・特区民泊用の保険は保険料が高額になる傾向がありますが、それだけに補償設計の見直しによるコスト最適化の余地もあります。

    最後に

    「保険は一度入ったら見直さないもの」と考えがちですが、民泊運営においては常に状況が変化します

    • ゲスト層の変化

    • 客室数の増減

    • 家具家電の入れ替え

    • 法制度の変更

    これらに対応して、保険内容も定期的に見直すことで、無駄なく、かつ安心して運営できる環境を整えておくことができます。

    火災保険は単なるコストではなく、「経営の防波堤」です

    しっかりと現場に合った内容で加入して、リスクに備えましょう。