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2025年後半、民泊は選ぶ者と淘汰される者に分かれる

目次

    最近、不動産市場を眺めていると「民泊可能」と記された売り物件をよく目にするようになりました。中古の一棟貸し、マンションの一室、地方の古民家まで、さまざまな物件が市場に出回っています。

    一見すると「チャンスだ」と思うかもしれません。特にインバウンドが回復している今、民泊事業に参入してみたいと考える人にとっては、魅力的に映ることでしょう。

    しかし、2025年後半の民泊市場は大きな変動期を迎える可能性が高く、焦って物件を購入することは非常にリスキーです。

    ここでは、実際に民泊を運営してきた経験を踏まえながら、その理由を整理してみます。

    物件が増える=競争が激化する

    「民泊可能」と銘打った物件が多発している背景には、不動産会社の販売戦略があります。インバウンド需要を背景に「利回り物件」として宣伝しやすいからです。

    しかし、これは同時に競合が一気に増えることを意味します。

    特に一棟貸しや都市部ワンルームなどは、同じような条件で大量に供給されるため、価格競争に陥りやすいのです。

    私が以前運営していたエリアでも、同じ時期に数件の物件が一斉にオープンし、稼働率が大きく落ち込んだことがありました。表面的な利回りシミュレーションは甘く、現実には競合の影響で収益が半減したのです。

    規制・制度の見直しリスク

    民泊は常に法規制の影響を受ける業態です。

    2025年後半には、いくつかの地域で以下のような動きが噂されています。

    • 特区民泊の用途地域制限の議論

    • 大都市圏での営業日数規制強化

    • ゴミ出しや防火基準などの追加要件

    これらが実現すると、「民泊可能」として売りに出されている物件でも、運営に大きな制約がかかる可能性があります。実際、過去にも規制強化のタイミングで運営を諦めざるを得ない事業者が続出しました。

    インバウンド需要も変動する

    足元ではインバウンド需要が回復し、観光地には多くの外国人観光客が戻ってきています。しかし、これも永続的ではありません。

    • 為替レートの変化

    • 地政学リスク

    • 入国規制やビザ条件の変更

    こうした外的要因で需要は一気に変動します。2025年後半に国際情勢や円相場が変われば、宿泊需要が急減する可能性も十分にあるのです。

    今買う人の多くは「出口戦略」を持っていない

    市場に出回る「民泊可能物件」の中には、すでにオーナーが手放したいと考えているものも少なくありません。理由は単純で、運営が思ったほど利益にならなかったからです。

    最近相談を受けた個人オーナーも、一棟貸し物件を購入して数年で手放しました。清掃人員の確保ができず、稼働率が下がり、収益がローン返済を下回ったからです。

    その物件はいま「民泊可能」として再び市場に出ていますが、こうした背景を知らずに購入すれば同じ轍を踏むことになります。

    いま動くべきは「買うこと」ではなく「準備」

    では、どうすればよいのでしょうか。

    答えはシンプルで、いまは焦って買わず、情報収集と準備に徹することです。

    • 自分が運営したい地域の規制や住民意識を調べる

    • 実際の民泊物件に宿泊し、ゲスト目線で体験する

    • 清掃業者や管理代行業者などの協力体制を確認する

    • 資金計画をシミュレーションし、変動リスクに耐えられるか検証する

    こうした下準備をしておけば、市場が落ち着いたときに適切な物件を冷静に選べます。

    まとめ

    2025年現在、民泊可能物件が多く出回っているのは事実です。しかし、それは「市場が成熟してきた証拠」であると同時に、「競争激化とリスク増大」のサインでもあります。

    これから参入を考えている方に伝えたいのは、今は焦って物件を購入すべきタイミングではないということ。

    2025年後半の民泊市場は変動が予測され、今飛び込めば大きなリスクを背負う可能性が高いのです。

    むしろ「いまは準備と研究に徹し、次の波に備える」ことこそが、長期的に見て最も賢い戦略だと言えるでしょう。