Columnsコラム

“民泊激戦区”大阪で予約が入らない?――今、民泊経営がこんなにも難しい理由

目次

    「大阪で民泊を始めたのに…予約が入らない」そんな声が増えている

    「部屋も綺麗に作ったし、内装にもお金をかけた。写真もプロに撮ってもらった。でも予約が全然入らない――」

    大阪市内で民泊を始めたばかりのオーナーから、こんな相談が後を絶ちません。

    2020年以降、インバウンド回復の流れを見て民泊に参入した人は少なくありません。

    しかし実際には、「収益が出ない」「予約が入らない」「代行会社に丸投げしたけど赤字」といった**“現実とのギャップ”に直面するオーナーが急増**しています。

    大阪は“民泊激戦区”。簡単に勝てる場所ではない

    大阪は日本でもっとも民泊の競争が激しい都市のひとつです。

    ▶ インバウンド需要が集中

    • 関西国際空港の存在

    • 京都・奈良へのアクセスの良さ

    • ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどの観光資源

    こうした理由から、大阪市内は訪日外国人観光客の人気エリア。

    つまり、「民泊で稼げそう」なイメージがあるため、参入する人が後を絶ちません

    ▶ 2023年〜2025年で物件数が急増

    特に「大阪万博」が迫る中で、投資目的で民泊物件が急増。

    一部のエリアでは1km圏内に50件以上の民泊物件が集中し、検索ページで埋もれる物件も続出しています。

    「部屋を綺麗に作れば予約が入る」は、もはや通用しない

    かつては、「他より内装がきれい」「布団がふかふか」「写真が明るい」といった点で、すぐに予約が入りました。

    しかし今は違います。

    部屋がきれいなのは“当たり前”の時代に入りました。

    ゲスト側は以下のようなポイントまで比較し、物件を選んでいます:

    • 駅徒歩5分以内か

    • エレベーターの有無

    • チェックインのしやすさ(非対面・柔軟性)

    • 清掃の品質と頻度

    • 過去のレビュー(★4.8以上が当たり前)

    • 対応言語・多言語サポート

    • 周辺エリアの治安・コンビニ・飲食店情報の記載

    つまり、「物件の見た目」だけで差別化するのは限界があるということです。

    予約が入らない民泊に共通する“3つの落とし穴”

    大阪で予約が入らない物件には、よく似た特徴があります。

    ① 市場を分析せずに物件を決めた

    「梅田に近いから大丈夫」「難波なら稼げると思った」

    こうした主観的な判断で物件を取得してしまうと、思わぬ落とし穴があります。

    実際には、

    • 駅徒歩10分以上

    • 周囲に同価格帯の高評価物件が乱立

    • 地図上で不利な位置(線路沿いや幹線道路隣接)

    などがネックになり、検索順位で埋もれてしまいます。

    ② 価格設定が戦略的でない

    競合が1泊8,000円のところを、1泊10,000円で設定していれば当然予約は入りにくくなります。

    逆に安くしすぎても、「この価格って何かあるのでは?」と不安に思われることもあります。

    価格設定は、「周辺の稼働率・季節・曜日別需要」まで加味して柔軟に変更すべきです。

    実績ある代行会社に委託していない

    民泊の成否は、誰に運営を任せるかで9割決まると言っても過言ではありません。

    「なんとなく安かったから」「知人に紹介されたから」

    という理由で委託先を選び、結果的に以下のような事態に陥っている物件が少なくありません:

    • 問い合わせの返信が遅く、レビューが荒れる

    • 清掃品質にばらつきがあり、クレームにつながる

    • OTA(Airbnbなど)上での写真や文章が競合に劣る

    • 価格調整やレビュー管理が放置されている

    • 地元事情に疎く、外国人ゲストへの対応力がない

    これらはすべて、運営が弱い代行会社に委託してしまっていることによる典型的な失敗例です。

    逆に、しっかりした代行会社に委託していれば、

    • 日々の価格最適化

    • OTAページの最適化

    • 清掃・補充の抜け漏れ管理

    • ネガティブレビュー対応

    • 地域との関係づくりの支援

    まで一貫して対応してくれます。

    つまり、「物件オーナーが優秀であっても、運営パートナーが弱ければ戦えない」のが、今の大阪民泊市場の現実です。

    民泊成功のカギは「戦略」と「差別化」しかない

    大阪のような激戦区で生き残るためには、“なんとなく”では勝てません。

    ✔ 事前の市場調査(稼働率・単価・競合分析)

    エリアごとの需要と競合数を徹底的に分析する必要があります。

    ✔ ホスピタリティとレビュー管理

    予約が入る部屋は「高評価レビュー」が圧倒的に多いです。

    レビュー返信、丁寧な対応、メッセージのスピード、清掃品質の担保など、地道な積み重ねが命取りになります

    「民泊は儲かる」は過去の話。“事業”としての覚悟が必要

    かつては、民泊は「不動産投資の延長」「副業で手軽に稼げる」というイメージがありました。

    しかし今は、完全に**“事業”としての戦略性・実行力が求められる時代**です。

    大阪の民泊市場では、

    • 競争に勝ち抜けるオーナーはごく一部

    • それ以外は“維持費すら回収できない”ケースも少なくない

    • 実際に、「撤退相談」や「運営委託先の変更」が増えている

    という状況になっています。

    まとめ:これから大阪で民泊を始める人が持つべき視点

    市場の飽和を前提にした差別化戦略があるか?

    代行会社に丸投げせず、運営にも主体的に関わる覚悟があるか?

    利益が出るまで耐えられる資金計画を持っているか?

    競合物件と比較して選ばれる理由が明確にあるか?

    これらがクリアできない場合、「とりあえず始める」はあまりにリスクが高すぎます。

    逆に、これらを冷静に分析し、「戦う土俵」を選び抜くことができれば、

    今も大阪で高収益を出している民泊物件は確かに存在しています。

    民泊が成熟産業へとシフトする中で、問われるのは“手軽さ”ではなく“経営力”です。

    大阪で民泊を始めるということは、**「競争の最前線に立つ覚悟があるか」**という問いに、明確にYesと答えられるかどうかにかかっています。