「西成賃貸民泊の落とし穴」──所有者は中国人、日本語が通じず誰も助けてくれない現実

「オーナーと話が通じない」民泊運営者が今、西成で直面している現実
民泊運営の相談が増える中、大阪・西成エリアでとくに耳にするようになった声があります。
「物件を民泊用に借りたが、オーナーが中国人で日本語が一切通じない」
「設備不良を報告したいのに、やり取りができず泣き寝入りしている」
「間に入ってくれた仲介業者は“契約時だけ”で、その後は何もしてくれない」
こうした**“言語障壁による孤立”**が、西成エリアで民泊事業者の間に広がりつつあります。
特に「1棟借り」「事業用賃貸」での民泊運営は、契約後の建物トラブルや緊急対応が避けられません。
それにもかかわらず、オーナーとの意思疎通が不可能な状態で運営を始めてしまったことで、
「困っても誰にも頼れない」「修繕すらできない」という状況に追い込まれてしまうのです。
なぜ西成エリアでこのようなトラブルが多いのか?
西成区はもともと低価格帯の住宅・ビジネスホテルが多く、インバウンド向けの宿泊施設が急増してきた地域です。
物件価格の安さや契約の柔軟さを背景に、外国人オーナー(特に中国籍)の所有物件も多数参入しています。
▶ 価格重視で契約しやすい反面、管理体制が不透明
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契約はスムーズでも、契約後のトラブル対応が機能していない
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所有者が“実際には日本に住んでおらず”、建物の現状を把握していない
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通訳もつかず、LINEやWeChatだけでやり取りするケースも
▶ 仲介業者が「管理会社ではない」ことの落とし穴
よくある誤解が、「仲介してくれた不動産屋が、困ったとき助けてくれる」という思い込み。
実際には、
「契約が終わればそこで関係は終了」
「設備の不具合? それはオーナーに連絡してと言われて終わり」
というケースが非常に多く、契約後の孤立状態が深刻なリスクとなっています。
【事例】対応不能なオーナーのもとで起きた“運営崩壊”の実態
● 事例①:給湯器が故障 → 修理の承諾が得られず1週間停止
冬場、宿泊者から「お湯が出ない」とクレーム。すぐに給湯器の故障と分かったが、オーナーに修理の承諾を求めると「わからない」「費用の話はまたあとで」と煮え切らない返答。
結果的に1週間以上修理ができず、予約キャンセル・レビュー低下・返金対応に追われた。
● 事例②:共用廊下の電灯が切れた → 夜間真っ暗で宿泊者が転倒
廊下の照明が切れたことを伝えたが、「その部分は管理対象外」と言われ、結局対応されないまま数週間放置。
夜間にゲストが足をくじき、宿泊予約サイトに**「安全性に問題がある」と低評価レビュー**がついた。
● 事例③:契約時に聞いていなかった上下水道の老朽化 → 毎月排水トラブル
老朽化した建物だったが、契約時にはその情報が開示されていなかった。
実際に運営を始めると、排水詰まり・水漏れが毎月のように発生。オーナーに相談するも、「お金がない」「中国に帰国しているから対応できない」の一点張りで、
すべて自腹で対応せざるを得なかった。
民泊運営では「誰と関係を作っておくか」が命綱になる
民泊運営で成功するかどうかは、「いい物件を借りられるか」ではなく、
**「トラブルが起きたときに誰が助けてくれる体制があるか」**で決まります。
契約前に以下の3つの“支援ライン”を確認しておくことが重要です:
支援ライン | 確認ポイント |
---|---|
所有者との言語的コミュニケーション | 通訳対応があるか、日本語が通じる窓口があるか |
管理会社の有無 | 建物の設備・共用部を管理する責任者が存在するか |
運営代行・管理代行 | 24時間体制でゲスト対応・トラブル対応が可能な代行会社に依頼しているか |
これらが1つでも欠けると、運営者は**「クレームを受けるだけで、何も解決できない人」**になってしまいます。
契約前に“言語・管理体制の壁”を必ずチェックすべき理由
民泊運営は、見た目や立地だけで判断してはいけません。
特に西成のようなコスト優先で借りやすいエリアでは、以下の点を必ず確認する必要があります:
✅ オーナーとの連絡手段(日本語 or 通訳付き?)
✅ 建物管理の窓口(管理会社 or 自主管理?)
✅ 修繕・不具合が出た際の連絡フロー(連絡すればすぐに対応できる体制か)
✅ 仲介業者が「その後も管理に関わる立場」かどうか(←ほとんど関与しないケースが多い)
これらを事前に詰めておかなければ、契約後に「誰にも相談できない」状態で孤立し、精神的にも金銭的にも疲弊することになります。
まとめ:「安さ」や「始めやすさ」だけで飛びつかないこと
西成エリアは、確かに家賃が安く、契約も柔軟で、民泊初心者でも手を出しやすいエリアです。
しかしその裏には、
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言葉が通じないオーナー
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責任を持たない仲介業者
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機能していない管理体制
という、“支えのない民泊”の落とし穴が広がっています。
民泊は、「物件」ではなく「運営」で稼ぐビジネスです。
そして運営を支えるには、「関係性」「体制」「サポート」が必要不可欠です。
ここで絶対に勘違いしてはいけないのは、
困ったときに“親切心で誰かが助けてくれる”と思ってはいけない
ということです。
仲介業者も、オーナーも、運営代行も、契約や費用を伴ってはじめて動いてくれるプロです。
口約束や関係性だけでは、トラブル時に何もしてくれないのが現実です。
だからこそ、契約前に以下を確認し、それぞれに対してきちんと“お金を払って委託する”関係性を構築しておくことが不可欠です。
✅ 建物の不具合対応 → 【建物管理会社と契約】
✅ 清掃・ゲスト対応 → 【民泊運営代行会社と契約】
✅ 法令・申請対応 → 【行政書士など専門家に依頼】
✅ トラブル時の通訳・やり取り → 【多言語対応スタッフと契約】
民泊は「自己責任の塊」です。
孤立したまま始めれば、いずれ運営は崩壊します。
これから西成で民泊を始めようとしているなら、
“困ったときに誰がどう動くか”を、契約と報酬で明確に設計しておくことが成功の鍵です。
プロに任せるべきところは任せる――
それが民泊経営を「自己責任」で終わらせないための、唯一の現実的な道です。