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『なんでもできます』という民泊運営会社は危ない?本当に信頼できる管理会社の見分け方

目次

    「なんでもできます」と言う民泊運営会社は、少し危ない。

    民泊の運営会社を探していると、かなり頼もしい会社に出会うことがあります。

    清掃できます。

    価格調整できます。

    24時間対応できます。

    オーナー様ごとの細かな希望にも合わせられます。

    家具の手配も、撮影も、修繕も、集客もできます。

    そして最後に、

    「基本的になんでもできます」

    と言われる。

    聞いている側としては安心します。

    そりゃそうです。

    できませんと言われるより、できますと言われた方が気持ちはいい。

    ただ、実際の運営を長く見てきた立場からすると、

    「なんでもできます」と即答する運営会社は、少し注意した方がいい。

    と思っています。

    「できます」と「仕組みがあります」は違う

    運営開始前は、だいたい何でもできます。

    物件数が少ないうちは、担当者が覚えていれば何とかなります。

    「この物件だけチェックアウトを11時にする」

    「このオーナー様だけ、追加タオルを無料にする」

    「この施設だけ、忘れ物を無料で送る」

    「この予約だけ、電話で個別対応する」

    1件ずつなら、できなくはありません。

    担当者が頑張ればできます。

    ただし、それは運営スキームではありません。

    担当者の記憶力です。

    そして、担当者の記憶力を業務システムとして採用すると、だいたいどこかで事故ります。

    物件が少し増えると、急にできなくなる

    最初は、

    「オーナー様のご希望に全部合わせます」

    と言っていた会社でも、管理物件が増えると状況が変わります。

    物件ごとにルールが違う。

    料金も違う。

    チェックイン時間も違う。

    タオルの枚数も違う。

    清掃会社への指示も違う。

    ゲストへの返信内容も違う。

    スタッフは毎回、

    「この物件は、どのルールでしたっけ?」

    となります。

    そして、ある日突然、

    「今後は全施設でルールを統一します」

    と言われる。

    オーナー様からすると、

    最初はできるって言うてましたやん。

    という話です。

    でも、運営会社側からすると、増えた物件を回すためには統一するしかない。

    つまり最初の「なんでもできます」は、長く続けられる前提で設計されていなかったということです。

    しっかりした会社には、ルールがあります

    運営体制が整っている会社ほど、最初からルールがあります。

    チェックイン時間。

    チェックアウト時間。

    緊急対応の範囲。

    追加リネンの扱い。

    清掃会社への依頼方法。

    ゲストへの補償基準。

    忘れ物の発送方法。

    こうした内容が、担当者の気分ではなく、仕組みとして決まっています。

    そのため、オーナー様からのご希望に対して、

    「申し訳ありませんが、その対応は行っておりません」

    とお伝えすることもあります。

    少し冷たく聞こえるかもしれません。

    でも、それは融通が利かないのではなく、

    同じ品質で運営を続けるための線引きです。

    オーナーごとの希望に、すべて合わせるのが正解とは限らない

    もちろん、物件ごとの特徴は大切です。

    高級貸別荘とワンルーム民泊を、まったく同じ運営にする必要はありません。

    ただ、

    「このオーナー様がこう言ったから」

    だけで例外を増やしていくと、現場は必ず複雑になります。

    例外が5件なら覚えられます。

    20件になると一覧表が必要です。

    50件になると、一覧表のどこに書いてあるか分からなくなります。

    100件になる頃には、

    例外一覧を管理するための担当者が必要になります。

    これでは、何のための効率化か分かりません。

    しっかりした運営会社は、オーナー様の希望を何でも受け入れるのではなく、

    「この希望は運営に組み込めるか」

    「ほかのスタッフでも再現できるか」

    「物件が増えても続けられるか」

    まで考えます。

    本当に聞くべきなのは「できますか?」ではない

    運営会社を選ぶとき、

    「これもできますか?」

    「この対応も可能ですか?」

    と聞くことは大切です。

    ただ、それだけでは足りません。

    聞くべきなのは、

    「それは、どんな仕組みで対応していますか?」

    です。

    担当者が個別に頑張ります。

    その都度判断します。

    できる限り柔軟に対応します。

    この回答ばかりなら、少し不安です。

    なぜなら、担当者が変わった瞬間に、全部変わる可能性があるからです。

    逆に、

    ルールがあります。

    対応フローがあります。

    清掃会社との役割分担が決まっています。

    例外対応には承認が必要です。

    こういう会社は、少し堅く見えても、運営開始後は安定しやすい。

    民泊運営では、勢いのある「できます」より、地味な「こう運用しています」の方が信用できます。

    管理部長のひとこと

    「なんでもできます」という言葉は、営業ではとても便利です。

    オーナー様にも喜ばれます。

    契約にもつながりやすい。

    でも、運営が始まった後に本当に必要なのは、気持ちのいい返事ではありません。

    続けられる仕組みです。

    できると言っていたことが、物件数が増えた途端にできなくなる。

    担当者が変わったら話が通じなくなる。

    ルールがないので、毎回答えが変わる。

    こうなると、困るのはオーナー様です。

    だから、運営会社を選ぶときは、

    「なんでもできます」

    という会社より、

    「できることと、できないことが明確な会社」

    を選んだ方がいい。

    何でもできる会社は、頼もしく見えます。

    でも本当に怖いのは、

    何でもできるのではなく、何も決まっていないだけかもしれないことです。

     

    このコラムについて

    本コラムは、民泊運営歴10年・宅地建物取引士資格を持つ管理部長・柳瀬が、実務経験をもとに執筆しています。

    OTA(Airbnb・Booking.com 等)の実運用、価格調整・稼働率改善、住民・ゲスト・管理組合とのトラブル対応、行政対応・是正指導、うまくいかなかった運営や撤退判断まで――現場責任者として経験してきた民泊運営のリアルを踏まえた内容です。

    本コラムでは、きれいな成功談や理想論だけのノウハウではなく、

    **「実際に現場で何が起きるのか」「どこでつまずきやすいのか」「判断を誤りやすいポイントはどこか」**を、実務目線でお伝えしています。

    コラムを読んで

    「今の運営、このままで大丈夫なのか」

    「一度、第三者の意見を聞いてみたい」

    「これから民泊・貸別荘を始めたいが、何から考えるべきか分からない」

    と感じた方は、運営相談・新規相談だけでもお気軽にお問い合わせください。

    現状整理から方向性の確認まで、実務経験をもとにお話しさせていただきます。