民泊・ヴィラの運営会社を選ぶなら「感覚」ではなく数字の説明に強い会社を|売上を任せる会社の見極め方

民泊や貸別荘、ヴィラの運営会社を探していると、
「集客に強いです」
「高稼働を実現します」
「OTA運用が得意です」
「収益最大化を目指します」
といった言葉をよく見かけます。
もちろん、どれも大切です。
でもオーナー様からすると、
「で、具体的にどうやって?」
ではないでしょうか。
私たちは民泊・貸別荘の運営を10年以上続けていますが、運営会社を選ぶときにぜひ見ていただきたいポイントがあります。
それは、
数字について、きちんと説明できる会社かどうか。
です。
ただ売上表を送ってくる会社、ではありません。
数字を見て、
なぜこの売上だったのか。
なぜこの宿泊単価だったのか。
なぜ平日が弱かったのか。
なぜ週末はもっと高く売れなかったのか。
来月は何を変えるのか。
そこまで説明できる会社です。
民泊・ヴィラ経営は、もちろん接客業でもあります。
でもオーナー様から見れば、
何千万円という不動産と事業を預ける投資でもあります。
「今月はなんとなく良かったです」
では、さすがに困ります(笑)。
「今月は予約が多かったです」で終わっていませんか?
例えば、運営会社からこんな報告があったとします。
「今月はたくさん予約が入りました」
嬉しいですよね。
でも、そこで終わってはいけません。
何泊売れたのか。
いくらで売れたのか。
売上はいくらだったのか。
前年や前月と比べてどうだったのか。
週末はいくらで販売できたのか。
平日はどうだったのか。
何日前に予約されたのか。
どのOTAから入ったのか。
ここまで見て、初めて運営状況が分かります。
例えば20日予約が入ったとしても、
一泊3万円で20日なのか。
一泊8万円で20日なのか。
同じ「20日稼働」でも、売上はまったく違います。
だから、
予約件数や稼働率だけで「好調です」と判断することはできません。
まず知っておきたい「稼働率・ADR・RevPAR」
ここから少し専門用語が出ます。
でも難しくありません。
民泊・ヴィラ投資をするなら、最低限この3つくらいは知っておいて損はありません。
稼働率
販売できる日のうち、実際に宿泊予約が入った割合です。
例えば30日販売して、そのうち21日予約が入れば、稼働率は70%です。
これは分かりやすいですね。
ただし、
稼働率が高い=儲かっている
ではありません。
ここが重要です。
ADR
ADRは「Average Daily Rate」の略で、実際に売れた日の平均宿泊単価です。
例えば10泊販売して宿泊売上が50万円なら、ADRは5万円です。
ヴィラ運営では、このADRが非常に重要です。
高級ヴィラなのに、とにかく稼働率を上げようとして値下げを続けると、
稼働率は上がった。
でもADRは下がった。
ということがあります。
カレンダーはきれいに埋まります。
オーナー様も一瞬安心します。
でも、
利益まで一緒に埋まっているとは限りません(笑)。
RevPAR
もう一つがRevPARです。
「Revenue Per Available Room」の略で、販売可能な日も含めて、一日あたりどれくらい宿泊売上を生み出したかを見る指標です。
例えば、
ADRは高いけれど予約がほとんど入っていない。
反対に、
稼働率は高いけれど、安売りしすぎている。
どちらもRevPARを見ることで、より実態が分かりやすくなります。
つまり、
稼働率だけでもダメ。
宿泊単価だけでもダメ。
両方を見ながら、どれだけ売上をつくれているかを見る。
ということです。
「稼働率80%です!」だけでは、まだ喜べません
例えば運営会社から、
「今月は稼働率80%でした!」
と言われたとします。
数字だけ聞けば、良さそうですよね。
でも、
そこで一つ聞いてみてください。
「ADRはいくらでしたか?」
もし、
周辺の同等クラスのヴィラが平均8万円前後で販売できている時期に、
自分のヴィラだけ4万円で販売していたとしたら。
確かに稼働率は高くなるかもしれません。
でも、
本当にそれが良い運営だったのでしょうか。
清掃回数は増えます。
リネン交換も増えます。
設備の使用回数も増えます。
光熱費もかかります。
建物も消耗します。
そのうえ宿泊単価が低い。
ヴィラだけ一生懸命働いて、オーナー様にはあまり残らない。
それはちょっとかわいそうです(笑)。
逆に、ADRが高ければいいわけでもありません
では、
宿泊料金を高くしておけばいいのでしょうか。
もちろん違います。
「うちは高級ヴィラなので、一泊15万円です」
と設定した。
でも一か月に2泊しか予約が入らない。
ADRだけ見ると立派です。
ただ、
ほぼ空いています。
これも困ります。
価格を維持することと、
予約が入らない価格をずっと掲げておくことは違います。
だから、
稼働率。
ADR。
RevPAR。
予約リードタイム。
曜日。
季節。
周辺需要。
こうした数字を組み合わせて判断する必要があります。
「予約リードタイム」も意外と大切です
予約リードタイムとは、
宿泊日の何日前に予約されたか
という数字です。
例えば、
3か月前から予約される施設なのか。
1か月前なのか。
一週間前なのか。
直前予約が多いのか。
これによって価格戦略は変わります。
例えば、いつも宿泊日の30日前くらいから予約が入り始めるヴィラなのに、
60日前の段階で、
「まだ予約がない!」
と焦って値下げする。
すると、本来もっと高く売れたかもしれない日を、早い段階で安く販売してしまう可能性があります。
反対に、
予約が入り始める時期を過ぎても空室が多いなら、何か対策が必要かもしれません。
つまり、
「空いている」という事実だけでは、まだ判断できない。
「いつの時点で空いているのか」まで見る必要があります。
カレンダーを見て焦る前に、
その施設のお客様、まだ予約を探し始めてないかもしれません(笑)。
「去年より売上が上がりました」も、その理由を聞いてみる
これも数字を見るうえで大切です。
例えば、
「前年より売上が20%上がりました」
と言われた。
素晴らしい結果に見えます。
でも、
なぜ上がったのでしょうか。
宿泊単価を上げられたのか。
稼働率が改善したのか。
販売日数が増えたのか。
新しいOTAを追加したのか。
大型連休の日並びが良かったのか。
周辺イベントがあったのか。
去年は休館日が多かっただけなのか。
理由によって、評価は変わります。
たまたま市場全体の需要が強かっただけなのに、
全部「運営力です」と言われても、それはちょっと待ってください(笑)。
逆も同じです。
売上が下がった。
だから運営会社が悪い。
とも限りません。
市場需要そのものが弱かった可能性もあります。
大切なのは、
数字が上がった、下がったではなく、「なぜそうなったのか」を説明できること。
です。
数字に強い会社は「悪かった月」も説明できます
私は、ここがかなり大事だと思っています。
売上が良かった月は、
誰でも報告しやすいんです。
「過去最高売上でした!」
「稼働率90%でした!」
これは気持ちよく言えます。
問題は、
悪かった月です。
なぜ売上が落ちたのか。
価格設定は適切だったのか。
競合はどうだったのか。
平日が弱かったのか。
特定のOTAだけ予約が減ったのか。
レビューの影響は考えられるのか。
写真やページ内容に改善余地はないか。
そして、
来月は何を変えるのか。
ここまで説明できるか。
「今月はちょっと厳しかったですね」
だけなら、
それはオーナー様も見たら分かります(笑)。
運営会社に求めたいのは、その先です。
「数字を出せる会社」と「数字を説明できる会社」は違います
今は予約管理システムやサイトコントローラーを使えば、
売上。
予約数。
稼働率。
ADR。
OTA別実績。
いろいろな数字を出すことができます。
つまり、
数字そのものを出すことは、それほど難しくありません。
重要なのは、
その数字をどう読むかです。
例えば、
平日の稼働率が低い。
そこで、
「平日料金を20%下げましょう」
だけなのか。
それとも、
平日に泊まりやすいターゲットは誰か。
連泊需要を取れないか。
ペット需要はあるか。
ワーケーション需要はあるか。
海外ゲストの滞在日数はどうか。
OTAごとの予約傾向はどうか。
写真やプランを変えられないか。
こうしたところまで考えるのか。
同じ数字を見ても、
運営会社によって次の一手は変わります。
Excelは数字を出してくれます。
でも、
「で、どうしましょう?」までは、まだ会議に参加してくれません(笑)。
感覚が必要ない、という話ではありません
ここも誤解してほしくないところです。
宿泊運営では、
現場感覚もとても大切です。
「今年は海外ゲストの問い合わせが増えている」
「最近、ペット同伴の質問が多い」
「この設備についてよく聞かれる」
「ファミリー利用が増えてきた」
こうした現場でしか分からない情報があります。
数字だけ見ていても、分からないことはあります。
だから、
感覚か数字か
ではありません。
理想は、
現場で感じた変化を数字で確認すること。
です。
「最近、海外のお客様が増えた気がする」
なら、
OTA別、国籍別、予約経路別など確認できる範囲で実際の数字を見る。
「平日が弱い気がする」
なら、
曜日別のADRや稼働率を見る。
「直前予約が増えた気がする」
なら、
予約リードタイムを見る。
感覚から仮説を立てて、
数字で確認する。
そして施策を打つ。
また数字を見る。
これが運営です。
オーナー様への説明で専門用語を並べる必要はありません
数字に強い会社というと、
難しい専門用語をたくさん使う会社を想像されるかもしれません。
私は、むしろ逆だと思っています。
ADR。
RevPAR。
リードタイム。
コンバージョン。
こうした言葉を並べて、
オーナー様が、
「……はい」
となっている。
それでは意味がありません(笑)。
数字に強い会社ほど、
難しい数字を、分かりやすく説明できること
が大切です。
例えば、
「ADRが前年同期比8%上昇しました」
だけではなく、
「昨年より平均宿泊単価を約○円上げながら、稼働率をほぼ維持できたので、売上が伸びています」
と説明する。
その方が分かりやすいですよね。
オーナー様はホテル経営の専門家である必要はありません。
だからこそ、
運営会社が数字を翻訳する役割
を持つべきだと思っています。
高級ヴィラほど、数字を見ない運営は怖い
特にヴィラ投資では、
土地。
建物。
家具。
サウナ。
プール。
露天風呂。
外構。
かなり大きな投資になります。
それなのに運営が始まった瞬間、
「今月はまあまあでした」
で管理されていたら。
建築するときは1円単位まで見積書を確認したのに、
運営が始まったら急に「まあまあ」。
そこだけ急にふんわりするんですね(笑)。
ヴィラは、長期運用する不動産です。
5年、10年と運営するのであれば、
一か月の差は小さくても、
積み重なると大きな金額になります。
だからこそ、
数字を継続して見て、
改善していくことが重要です。
運営会社を選ぶときに、ぜひ聞いてほしい質問
これから民泊・ヴィラの運営会社を選ぶ方。
あるいは、現在の運営会社から変更を検討している方。
打ち合わせのときに、こんなことを聞いてみてください。
「毎月、どんな数字を見ていますか?」
「稼働率以外には何を確認しますか?」
「宿泊料金は何を基準に決めますか?」
「予約が入らないとき、最初に何を確認しますか?」
「ADRが下がった場合はどう分析しますか?」
「オーナーへの収益報告はどんな内容ですか?」
「数字が悪かった月は、どのように改善策を決めますか?」
ここで、
具体的に説明してくれる会社なのか。
それとも、
「市場を見ながら最適化します」
「AIで価格調整します」
「収益最大化を目指します」
だけなのか。
この差は、かなり大きいと思います。
「最適化します」は便利な言葉です。
何をどう最適化するのか、そこを聞きたいんです(笑)。
「AIで価格調整しています」だけでも足りません
最近は、AIやダイナミックプライシングを使った価格調整も増えています。
ダイナミックプライシングとは、
需要や曜日、時期などに応じて宿泊料金を変動させる仕組みです。
これは非常に便利です。
私たちも、システムやデータを活用しながら価格を調整します。
でも、
AIが価格を決めているから安心
ではありません。
地域イベント。
設備トラブル。
工事。
新しい競合施設。
レビュー。
施設ごとの予約傾向。
オーナー様の収益目標。
こうした事情まで含めて、
最終的には人が数字を確認する必要があります。
AIが出した価格を、
「AIが言うてますので」
でそのまま採用する。
それでは、運営会社というより少し仲介役に近くなってしまいます(笑)。
道具は使う。
でも、
その数字に責任を持つのは人。
ここは大切です。
運営会社を変更するときも「売上を上げます」だけで決めない
現在の運営会社に不満があり、
別の会社へ変更しようとすると、
新しい会社から、
「もっと売上を上げられます」
「稼働率を改善できます」
と言われることがあります。
魅力的ですよね。
でも、
ここでも聞いてください。
「なぜ、そう思うんですか?」
現在の価格設定に問題があるのか。
OTAページに改善余地があるのか。
写真なのか。
販売チャネルなのか。
平日の売り方なのか。
週末の単価なのか。
レビューなのか。
そもそも想定売上が現実的ではないのか。
根拠がある会社なら、
改善できそうなポイントを説明できるはずです。
私たちも、
物件を見ただけで、
「絶対売上上がります!」
とは言いません。
未来の売上がそこまできれいに見えるなら、
私も別の仕事を始めています(笑)。
過去の実績。
現在のOTA。
価格。
レビュー。
予約状況。
施設の特徴。
周辺市場。
確認できる材料を見たうえで、
改善できるところを探します。
良い運営会社は「数字が悪い理由」も説明する
オーナー様にとって、
毎月ずっと良い数字が出るのが理想です。
でも現実には、
繁忙期もあります。
閑散期もあります。
天候の影響もあります。
市場環境が変わることもあります。
だから、
数字が下がる月があること自体は不思議ではありません。
大切なのは、
下がったときに説明できること。
そして、
次に何をするか決められること。
だと思っています。
良かった。
悪かった。
ではなく、
なぜそうなったのか。
次にどうするのか。
結果はどうだったのか。
この繰り返しです。
民泊・ヴィラ運営は「勘」だけで続けるには投資額が大きすぎます
民泊なら数千万円。
高級ヴィラなら、それ以上。
土地から購入して建築するなら、さらに大きな事業になります。
それだけの資金を投じて、
運営が始まった途端、
「最近ちょっと予約弱いですね」
「来月は入ると思います」
「夏になれば大丈夫だと思います」
だけでは、
少し心配です。
もちろん予測できないこともあります。
でも、
分からないことと、数字を見ていないことは別です。
予約が弱いなら、
どこが弱いのか。
価格なのか。
曜日なのか。
OTAなのか。
時期なのか。
そもそもの需要なのか。
数字で確認する。
そして、
変えられるところを変える。
民泊・ヴィラ運営は、
感覚だけで何年も続けるには、投資額が少々大きすぎます(笑)。
運営会社を選ぶなら、「数字の話ができる会社」を
民泊・ヴィラの運営会社を選ぶとき、
担当者の人柄。
返信の速さ。
運営手数料。
対応エリア。
実績。
もちろん全部大切です。
でも、
もう一つ。
ぜひ、
数字の説明に強い会社かどうか
を見ていただきたいと思っています。
数字をたくさん並べる会社ではありません。
数字を見て、
「なぜこうなったのか」
を説明できる会社。
そして、
「では次に何をするのか」
まで話せる会社です。
感覚も使う。
経験も使う。
AIも使う。
データも使う。
でも最後は、
オーナー様に説明できるところまで数字を理解する。
それが、長期的に民泊・ヴィラを運営する会社には必要だと思っています。
売上が良かった月だけ、
「運営がうまくいきました」。
悪かった月は、
「市場が悪かったです」。
毎回こちらに都合よく市場が登場するのも困りますので(笑)。
良いときも。
悪いときも。
数字を見て、理由を考えて、次の一手を決める。
何千万円という不動産を預けるのであれば、
私はそんな運営会社を選んでいただきたいと思っています。
このコラムについて
本コラムは、民泊運営歴10年以上・宅地建物取引士資格を持つ管理部長・柳瀬が、これまでの実務経験をもとに執筆しています。
Airbnb・Booking.com等のOTA運用、価格調整、稼働率・ADR・RevPARの分析、ゲスト対応、レビュー、設備トラブル、近隣対応、収益改善、運営会社の変更まで、実際の宿泊運営に携わってきました。
民泊・貸別荘・ヴィラの運営では、
「予約が入ったかどうか」だけではなく、「いくらで、いつ、どのOTAから、どのように予約されたのか」
を見ることが大切です。
そして数字が悪かったときには、
値下げだけで終わらせず、
価格。
OTA。
写真。
プラン。
販売期間。
ターゲット。
レビュー。
運営品質。
さまざまな角度から改善余地を探します。
また、宅地建物取引士として、民泊不動産・中古ヴィラ・貸別荘の購入前確認、収支、物件選び、許認可、開業準備、運営、収益改善、将来の売却までご相談いただいています。
私たちが一貫して大切にしているのは、
不動産と運営は切り離さず考えること。
購入時には細かく収支を確認したのに、
運営開始後は売上だけを見る。
それでは少しもったいないと思っています。
「現在の運営会社から、売上の説明がほとんどない」
「稼働率しか報告されず、ADRや収益状況が分からない」
「予約が入らないと、すぐ値下げされる」
「売上が下がっている理由を聞いても、よく分からない」
「運営会社を変更すると改善できる余地があるのか確認したい」
「これから民泊・ヴィラを購入するので、運営まで含めて収支を検討したい」
そんなご相談もお受けしています。
運営会社の変更ありきではありません。
まず数字を確認し、
現在の運営で何ができていて、何ができていないのか。
そこを整理することが大切です。
数字を見れば、すべてが分かるわけではありません。
でも、
数字を見なければ、分からないことはたくさんあります。
「買ってから困る」のではなく、
「あのとき、きちんと確認しておいてよかった」と思える判断を。
そして購入したあとも、
「なんとなく順調」ではなく、
「なぜ順調なのか」を説明できる運営を。
PROGRESS WORKSは、民泊・貸別荘・ヴィラの不動産と運営、その両方の視点からお手伝いしています。


