民泊の法規制が厳しくなったら運営会社は大丈夫?|貸別荘・ヴィラオーナーの不安と対策

民泊の法律が厳しくなったら、今の運営会社は大丈夫?
先日、民泊・貸別荘の運営について、あるオーナー様からご相談をいただきました。
現在の運営に、特に問題があるわけではありません。
売上に大きな不満があるわけでもなく、ゲスト対応や日々の管理にも困っていない。
むしろ、長年お付き合いのある運営会社様を信頼されているご様子でした。
それでも、少し気になっていることがあるとおっしゃいます。
「今後、民泊や旅館業の法律が厳しくなったとき、今の運営会社さんがこのエリアで事業を続けられるのか心配なんです」
「もし運営できなくなるなら、早めに別の会社にも相談しておいた方がいいのかなと思って」
なるほど、と思いました。
民泊・貸別荘・ヴィラは、不動産を所有しているだけで成立する事業ではありません。
運営会社がいて、清掃会社がいて、現地対応をしてくれる人がいて、初めて日々の宿泊事業が成り立ちます。
その体制が将来も続くのか。
オーナー様が不安に思われるのは、自然なことです。
ただ、私はそのお話を伺って、こうお伝えしました。
「長年信頼してお願いしてきた運営会社さんなら、今の段階でそんなに心配しなくても大丈夫だと思いますよ」
もちろん、将来のことを誰かが保証できるわけではありません。
それでも、まだ決まっていないことを理由に、これまで築いてきた信頼関係を急いで見直す必要はないと思ったのです。
今回は、民泊・貸別荘・ヴィラ運営を取り巻く法令の変化と、運営会社との信頼関係についてお話しします。
1.民泊・貸別荘の法規制が、オーナー様の不安になっている
近年、民泊や宿泊施設を取り巻く制度について、さまざまな議論や見直しが行われています。
住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法。
旅館業法。
国家戦略特区における特区民泊。
建築基準法。
消防法。
自治体の条例や運用。
宿泊事業には、さまざまな制度が関係しています。
そして、制度そのものだけでなく、自治体による運用や指導のあり方も、事業者に影響します。
今後、地域の状況や行政の方針によって、管理体制や適正な営業に関する確認が一層重視される可能性は十分にあります。
違反行為への監督や罰則についても、今後の議論や改正内容を確認していく必要があるでしょう。
ただし、ここで大切なのは、すでに決まっている制度と、これから議論される可能性のある制度を分けて考えることです。
「民泊の法律が厳しくなるらしい」
「このエリアでは運営が難しくなるかもしれない」
そんな話を耳にすると、不安になることもあると思います。
しかし、具体的な改正内容や施行時期が決まっていない段階では、事業への影響も正確には判断できません。
将来に備えることは大切です。
でも、まだ分からないことを、すでに決まったことのように考える必要はありません。
2.今の運営に問題がないなら、慌てて運営会社を変更しなくてもいい
今回ご相談いただいたオーナー様の場合、現在の運営会社様との関係は良好でした。
長年お願いしていて、日々の運営にも大きな問題はない。
それなら、私はまず、その関係を大切にしていただきたいと思いました。
民泊運営会社を変更すること自体が、悪いわけではありません。
運営品質に問題がある場合。
必要な管理体制が整っていない場合。
契約内容に課題がある場合。
オーナー様と運営会社の考え方が合わなくなった場合。
そうしたときには、運営委託先の見直しも必要です。
ただ、今回は少し事情が違います。
現在の運営に問題があるのではなく、将来の制度変更によって問題が起こるかもしれない、という不安です。
その不安だけで、長年お付き合いのある運営会社様を変更する必要があるのでしょうか。
私は、必ずしもそうではないと思っています。
長年、同じ施設を運営してきた会社には、その施設についての経験があります。
建物の特徴。
設備の状態。
清掃時の注意点。
周辺環境。
ゲストからよくある問い合わせ。
オーナー様の希望。
そうした情報は、日々の運営を通じて積み重なっていくものです。
運営会社を変えれば、すべてが自動的に引き継がれるわけではありません。
長く任せてきたこと自体が、一つの大切な財産なのだと思います。
3.法令が変わるからといって、長年の運営会社が簡単に諦めるとは思わない
私たちも10年以上、民泊・貸別荘・ヴィラの運営に携わってきました。
その間、宿泊事業を取り巻く環境は何度も変わっています。
制度の変化。
OTAの変化。
旅行需要の変化。
ゲスト対応の変化。
運営に求められる管理体制の変化。
そのたびに、私たちも対応方法を考え、運営の仕組みを見直してきました。
もちろん、制度変更の内容によっては、従来の営業方法を続けることが難しくなる場合もあります。
すべての運営会社が、どのような変更にも対応できると断言することはできません。
ただ、長年宿泊運営を続けている会社であれば、これまでもさまざまな変化に向き合ってきたはずです。
今回ご相談いただいたオーナー様の運営会社様も、きっと同じではないでしょうか。
制度が変われば、情報を集める。
必要な対応を考える。
自治体や専門家に確認する。
社内の運営方法を見直す。
場合によっては、他の事業者と協力する。
長年積み重ねてきた仕事を、法令が厳しくなるかもしれないという理由だけで、簡単に手放すとは限りません。
私は、そうした同業の皆様の経験や努力も信じたいと思っています。
4.民泊・貸別荘・ヴィラの運営業界は、意外と狭い世界です
これは、長くこの業界にいると感じることの一つです。
民泊・貸別荘・ヴィラの運営業界は、思っている以上に狭い世界です。
もちろん、全国には多くの宿泊事業者がいます。
ただ、地域や業務のつながりをたどっていくと、
「あの会社さんをご存じなんですね」
「以前、同じ案件でご一緒しました」
「実はよく飲みに行く仲なんです(笑)」
「その清掃会社さんとは、うちもお付き合いがあります」
ということが、珍しくありません。
運営会社同士が知り合いだったり、共通の取引先があったり、地域の情報を共有していたり。
会社同士で競合することはあっても、それだけの関係ではありません。
同じ宿泊産業に関わる事業者として、協力できることもあります。
同業者は、必ずしも敵ではありません
私は、同業の運営会社を必要以上に競争相手として考えたくありません。
もちろん、オーナー様から運営委託のご相談をいただけば、私たちも自社の仕事をきちんとご説明します。
ただ、だからといって、他社様の仕事を否定する必要はありません。
長年運営されている会社には、それぞれの経験があります。
地域に根ざした会社だからこそ知っていることもあります。
長く付き合ってきた清掃会社様や工務店様との関係もあるでしょう。
それは、簡単に代わりが見つかるものではありません。
民泊運営会社同士が、必要なときに協力できる関係であること。
それは、オーナー様にとっても、宿泊産業全体にとっても、良いことだと思います。
5.法令が厳しくなるときこそ、業界全体で適正な運営を考えたい
民泊や貸別荘、ヴィラの運営は、地域の中で行う事業です。
ゲストが快適に滞在できること。
オーナー様の事業が継続できること。
清掃会社や現地スタッフが安心して働けること。
そして、近隣住民の方々の暮らしに配慮すること。
どれも欠かせません。
法令や自治体ルールが見直される背景には、地域の課題や適正な運営を求める声がある場合もあります。
ですから、法規制の強化を、ただ宿泊事業者にとって不利なものとして捉えるのも違うと思っています。
適正な宿泊運営を行うことは、業界への信頼を守ることでもあります。
もちろん、制度変更によって事業者に大きな負担が生じることもあるでしょう。
そのときは、実際の運営現場の状況も踏まえながら、現実的な対応方法を考える必要があります。
ルールを守りながら、地域と共存し、宿泊事業を続けていく。
これは、私たちだけでなく、同業の運営会社の皆様とも共有できる目標ではないでしょうか。
6.将来が不安なら、まず今の運営会社に聞いてみてほしい
では、今後の民泊規制や旅館業法の改正が心配なオーナー様は、何もしなくていいのでしょうか。
私は、そうは思いません。
心配しすぎる必要はありませんが、確認しておくことは大切です。
例えば、現在の運営会社様に、
「今後、自治体のルールが変わった場合、どのように対応する予定ですか?」
と聞いてみてはいかがでしょうか。
現時点で、すべての答えが出ている必要はありません。
まだ決まっていないことについて、正確な答えを出すことはできないからです。
ただ、
どこから法令や自治体の情報を確認しているのか。
変更が決まった場合、誰が対応を検討するのか。
必要に応じて、行政や専門家に相談できる体制があるのか。
オーナー様へ、どのように情報を共有するのか。
そうした考え方を聞いてみることはできます。
長年お付き合いのある運営会社様であれば、きっと丁寧に話をしてくださるのではないでしょうか。
そして、もしまだ対応方針が決まっていないのであれば、
「決まったときに、一緒に考えていきましょう」
という話でもいいと思います。
信頼関係があるからこそ、不安なことを率直に相談できる。
それも、長く同じ運営会社に任せていることの良さだと思います。
7.私たちに相談が来たからといって、必ず運営を引き受ける必要はない
今回のご相談でも、私たちは運営会社の変更をおすすめしませんでした。
現在の運営に大きな問題がないのであれば、まずは今の運営会社様との関係を大切にしていただきたい。
そうお伝えしました。
これは、私たちにとって特別な判断ではありません。
ご相談いただいたからといって、必ずPROGRESS WORKSへ運営を切り替えていただく必要はないと思っています。
運営会社の変更が必要なケースもあります。
でも、変更しない方が良いケースもあります。
大切なのは、オーナー様の宿泊事業にとって何が良いのかということです。
今の運営会社様が長年、誠実に対応してくださっているのであれば、その関係を続けることにも大きな価値があります。
私たちがその会社様の代わりになることだけが、オーナー様のお役に立つ方法ではありません。
「今の会社さんを、これからも大切にしてください」
そうお伝えすることも、民泊・貸別荘の専門家として大切な仕事だと思っています。
8.運営会社の皆様にも、長く続けてきた仕事を大切にしてほしい
ここからは、少し同業の皆様に向けたお話です。
宿泊運営は、決して楽な仕事ではありません。
予約が順調な日ばかりではありません。
設備の故障もあります。
ゲスト対応で悩むこともあります。
清掃体制の調整に苦労することもあります。
制度やOTAの変更に対応しなければならないこともあります。
その中で、何年も施設を預かり、オーナー様との関係を続けてきたこと。
それ自体が、簡単ではない仕事だと思っています。
これから先、宿泊事業を取り巻く環境がさらに変わることもあるでしょう。
対応が難しい制度変更が生じる可能性もあります。
ただ、長年運営してきた会社だからこそ、持っている経験があります。
現場で培ってきた判断力があります。
地域の方々や取引先とのつながりがあります。
必要であれば、同業者同士で知恵を出し合うこともできると思います。
競争するところは競争して、協力できるところは協力する。
そんな業界であってほしいと思っています。
私たちPROGRESS WORKSも、同じ宿泊産業に携わる一社として、これからも学び、変化に対応していきたいと考えています。
9.民泊オーナー様に伝えたいのは、未来の不安より今の信頼を大切にしてほしいということ
将来の制度変更に備えることは大切です。
法令や自治体のルールを確認することも必要です。
必要な対応を早めに検討することも、良い判断だと思います。
ただ、まだ決まっていない未来について、今からすべてを心配しても、答えが出ないことがあります。
そして、その不安のために、今ある良い関係を手放してしまうのは、少しもったいないように感じます。
長年お願いしてきた運営会社様がいる。
日々の運営に問題がない。
困ったときには相談できる。
そのような関係が築けているのであれば、まずはそれを大切にしていただきたいと思います。
もちろん、実際に法令が改正され、運営に影響が出ることが明らかになった場合には、具体的な対応が必要です。
そのときは、運営会社様と一緒に考える。
必要に応じて、行政や専門家に確認する。
新しい体制を検討する。
そうやって、一つずつ対応していけばいいのだと思います。
まだ決まっていないことに振り回されるより、決まったときに動ける関係をつくっておく。
それが、今できる大切な準備ではないでしょうか。
まとめ|法令が変わっても、信頼まで変える必要はありません
民泊・貸別荘・ヴィラの運営を取り巻く制度は、これからも変化していく可能性があります。
適正な運営に求められることが増えるかもしれません。
管理体制の見直しが必要になるかもしれません。
事業者にとって、簡単ではない場面もあると思います。
でも、私は、長年この業界で頑張ってきた運営会社の皆様が、そうした変化に向き合っていく力を持っていると信じたいと思っています。
そして、オーナー様にも、今の運営会社様との関係を大切にしていただきたい。
現在の運営に問題がないのであれば、まだ起きていない未来を理由に、急いで運営会社を変える必要はありません。
まずは、信頼している会社様と話してみてください。
不安なことがあれば、相談してみてください。
きっと、その会社様も、オーナー様の大切な施設をこれからどう守っていくか、一緒に考えてくださると思います。
民泊・貸別荘・ヴィラの運営業界は、まだまだ狭い世界です。
だからこそ、同業者同士が互いの仕事を尊重し、必要なときには協力できる業界でありたい。
オーナー様と運営会社の信頼関係も、運営会社同士のつながりも、宿泊事業を長く続けるための大切な財産です。
法律が変わることはあっても、これまで積み重ねてきた信頼まで、簡単に変える必要はない。
私は、そう思っています。
このコラムについて
本コラムは、株式会社PROGRESS WORKS 管理部長・宅地建物取引士の柳瀬が執筆しています。
民泊・宿泊運営に10年以上携わり、不動産、宿泊運営、OTA掲載、WEB・情報設計、ゲスト対応・現地対応の統括、運営スキームの構築など、宿泊事業全体に関わっています。
株式会社PROGRESS WORKSでは、民泊・貸別荘・ヴィラの運営委託をはじめ、民泊可能物件や中古ヴィラ、貸別荘向け土地探し、ヴィラ開発、OTA集客、宿泊運営、運営体制の見直しなど、宿泊事業全体を見据えたご相談に対応しています。
現在の運営会社様との関係を続けながら、今後の制度変更への備えについて相談したい方も、もちろん歓迎しています。
運営会社を変えることだけが、解決策ではありません。
オーナー様にとって何が良いのか、一緒に考えていけたらと思っています。


