民泊でトコジラミが発生!Airbnb掲載停止と駆除に1か月かかった実体験

南京虫との忘れられない戦い
「Bed bugs! I got bitten by bed bugs!」
まだ朝も早い時間。
突然鳴った電話に出ると、外国人の宿泊者様が、英語で必死に何かを訴えていました。
ベッドバグ。
日本語ではトコジラミ。
南京虫とも呼ばれる害虫です。
民泊を運営していると、毎日いろいろなことが起こります。
鍵が開かない。
お湯が出ない。
エアコンが動かない。
Wi-Fiがつながらない。
もう10年以上この仕事をしているので、ある程度のことでは驚かなくなりました。
でも、
「Bed bugs!」
この言葉は、できれば一生聞きたくありません(笑)。
しかも、朝からです。
これは、まだ新型コロナウイルスが流行する前のお話です。
この一本の電話から、私たちは約1か月にわたるトコジラミとの戦いを経験することになります。
Airbnbの掲載停止。
予約キャンセル。
専門業者による駆除。
そして、終わったと思ったらまた出てくる南京虫。
最終的には、業者さんに任せるだけではなく、私たち自身で駆除に取り組むことになりました。
今思い出しても、なかなか大変な出来事です。
今回は、私たちが実際に経験したトコジラミ騒動についてお話しします。
朝の電話だけでも大変なのに、今度はAirbnbから連絡が
宿泊者様からの電話を受け、私たちは状況を確認し始めました。
虫に刺されたというお話です。
もちろん、まずは宿泊者様の安全と施設の状況を確認する必要があります。
ところが、今度はAirbnbのカスタマーサポートからも連絡が入りました。
そして、
リスティングが停止されてしまったのです。
リスティングというのは、Airbnbに掲載している宿泊施設のページのことです。
つまり、予約を受け付けるための大切な販売ページです。
当時、Airbnbからは、トコジラミの駆除を行い、その証明を提出する必要があると案内されました。
それまでは掲載の再開が難しいという状況です。
さらに、今後の予約にも影響が出ることになりました。
虫が出た。
駆除しなければならない。
その間、予約も受けられない。
なかなか厳しい状況です。
もちろん、宿泊者様の安全を考えれば、必要な対応です。
ただ、運営会社としては、
「これ、一体いつになったら営業再開できるんでしょうか……」
という不安もありました。
なお、これはコロナ禍以前に私たちが経験したAirbnbの対応です。
現在の掲載停止や再開条件が、当時と同じというわけではありません。
ただ、衛生上の問題が起きると、予約サイトでの販売にまで影響することがある。
その怖さを、このとき実感しました。
そもそも、トコジラミってどこから来るのでしょうか?
トコジラミと聞くと、
「清掃ができていない施設なのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、実はそうとは限りません。
トコジラミは、スーツケースや衣類、荷物などに紛れて移動することがあります。
例えば、旅行先の宿泊施設でスーツケースに入り込んでしまう。
そのまま次の宿泊施設へ移動する。
そして、知らないうちに別の場所へ広がってしまう。
そんなことが起こり得ます。
もちろん、持ち込んだ方も気づいていない場合がほとんどでしょう。
しかも、トコジラミは、刺された方全員に同じような症状が出るとは限りません。
皮膚の反応が出るまで時間がかかる場合もあります。
そのため、宿泊者様から「刺された」と申告があったからといって、いつ、誰が持ち込んだのかを特定することは簡単ではありません。
毎回きちんと清掃していても。
シーツを交換していても。
室内を清潔に保っていても。
外から持ち込まれる可能性を、完全になくすことは難しいんです。
これは、宿泊施設のオーナー様にも知っておいていただきたいことです。
トコジラミが発生したからといって、必ずしも清掃会社様や運営会社の衛生管理が悪かったという話ではありません。
もちろん、発生したあとにどう対応するかは重要です。
ただ、発生そのものを完全に防ぐことは、なかなか難しいのです。
最初は専門業者さんにお願いしました
トコジラミが疑われたため、私たちは専門の駆除業者さんに相談しました。
当然ながら、虫のことは虫の専門家にお願いするのが一番だと思ったからです。
当時の私たちも、
「専門業者さんに駆除してもらえば大丈夫だろう」
と考えていました。
そして、実際に駆除をしていただきました。
これで一安心。
……とは、なりませんでした。
また出てきたんです。
駆除したはずなのに、再びトコジラミが確認される。
「え、まだいるの?」
という感じです。
もちろん、トコジラミの駆除が簡単ではないことは、あとになってよく分かりました。
でも、当時は、
「業者さんにお願いしたのに、どうして?」
という気持ちでした。
そこで私たちは考えました。
もう一度、同じように業者さんにお願いするのか。
それとも、自分たちでできることをやってみるのか。
そして、
「何度も業者さんに来てもらっても、同じことの繰り返しになるのでは?」
と考えたのです。
もちろん、専門業者さんの技術が必要ないという意味ではありません。
トコジラミの駆除には専門的な知識や適切な処理方法が必要です。
ただ、当時の私たちは、最初の駆除で解決しなかったこともあり、費用をかけて何度も依頼するより、自分たちで対応を続けようと判断しました。
ここから、
運営会社による、南京虫との直接対決が始まりました(笑)。
トコジラミとの戦いで、一番厄介だったのは卵でした
トコジラミの駆除が難しい理由。
それは、目に見える虫を駆除しただけでは終わらないことです。
室内には、卵が残っている可能性があります。
そして、その卵から新しいトコジラミが孵化します。
当時の私たちが苦労したのも、この部分でした。
駆除した。
確認した。
もういないと思った。
でも、また出てくる。
「まだいるんですか……」
という感じです。
こちらとしては、そろそろ終わりにしたい。
でも、相手はなかなか諦めてくれません。
トコジラミの卵は、使用する殺虫剤によっては十分に駆除できないことがあります。
そのため、孵化した個体に対して、再度処理が必要になる場合があります。
もちろん、専門的な加熱処理など、卵を含めて対応できる方法もあります。
すべての駆除方法が卵に効かないというわけではありません。
ただ、私たちが経験したケースでは、一度の処理だけでは終わりませんでした。
何度も確認し、必要な対応を繰り返す。
これが本当に大変でした。
しかも、相手はとても小さい虫です。
大きな音を立てて歩いてくれるわけでもありません。
「ここにいますよ」
と教えてくれるわけでもありません。
むしろ、
見つからないように隠れるのが、とても上手なんです。
ベッドだけじゃない。そんなところにも隠れるの?
トコジラミという名前から、ベッドの周辺にいるイメージを持たれるかもしれません。
もちろん、ベッドやマットレスの周辺は注意が必要です。
でも、隠れ場所はそれだけではありません。
ベッドフレームの継ぎ目。
マットレスの縫い目。
畳の隙間。
家具の裏。
巾木の周辺。
カーテンの折り目。
さらには、コンセントやスイッチのプレート周辺など。
「そんなところまで?」
と思うような場所にも、潜んでいる可能性があります。
トコジラミは体が薄いため、とても狭い隙間にも入り込めます。
普段の清掃では、なかなか確認できない場所です。
例えば、毎回の清掃でコンセントのプレートを外して確認するかと言われれば、そんなことはありません。
そもそも電気設備ですから、むやみに触るのは危険です。
そうした場所の調査や処理は、専門業者さんにお願いする必要があります。
当時は、普段の清掃と害虫の駆除が、まったく別の仕事なのだと痛感しました。
部屋をきれいにすることと、トコジラミを見つけて駆除すること。
似ているようで、全然違うんです。
業者さんを呼ばず、自分たちで対応を続けることに
最初の専門業者さんによる駆除が終わっても、トコジラミは再び確認されました。
そこで私たちは、追加で業者さんを呼ぶのではなく、自分たちで対応を続けることにしました。
もちろん、簡単な作業ではありません。
通常の清掃とは違い、虫が潜んでいる可能性のある場所を確認し、必要な処理を繰り返す必要があります。
一度確認して終わり、というわけにはいきません。
しばらく様子を見る。
また確認する。
必要があれば、もう一度対応する。
これを繰り返しました。
通常の宿泊運営の仕事もあります。
ほかの施設の予約管理もあります。
ゲスト対応もあります。
そんな中で、トコジラミのことも考えなければなりません。
正直、
「私たち、何の会社でしたっけ?」
と思いたくなるような状況です(笑)。
でも、放っておくわけにはいきません。
オーナー様の施設です。
次のお客様を安心してお迎えできる状態に戻さなければなりません。
ただし、これはあくまでも当時の私たちの経験です。
トコジラミの駆除には専門知識が必要であり、被害の範囲や建物の構造によっては、自己対応だけでは被害を広げてしまうおそれもあります。
現在、同じような問題が起きた場合には、専門業者による調査や適切な駆除方法を確認したうえで対応することが重要だと考えています。
最終的には、家具も寝具も処分することに
駆除を続ける中で、私たちは家具や寝具の処分も行いました。
ベッド。
マットレス。
そのほか、トコジラミが潜んでいる可能性のあるもの。
もちろん、まだ使える家具を処分するのは、もったいないです。
購入費用もかかっています。
でも、トコジラミが残っているかもしれないものを、そのまま使い続けることにも不安がありました。
宿泊施設ですから、次のお客様をお迎えする必要があります。
「たぶん大丈夫です」
では、なかなか営業を再開できません。
結局、自分たちで繰り返し対応し、家具や寝具の処分なども行い、約1か月かかりました。
約1か月です。
なかなか長いです。
その間、通常どおりに宿泊者様をお迎えすることはできませんでした。
もちろん、すべてのトコジラミ被害で家具の処分が必要というわけではありません。
被害の範囲や駆除方法によっては、家具を残したまま対応できる場合もあります。
むやみに家具を運び出すと、かえって虫を広げてしまう可能性もあるため、処分についても専門業者さんと相談することが大切です。
ただ、私たちのケースでは、そこまで対応することになりました。
今思い出しても、なかなか大変な一か月でした。
そして、一番気の毒なのはオーナー様かもしれません
トコジラミが発生すると、まず心配なのは宿泊者様のことです。
虫に刺されたという申告があれば、きちんと状況を確認し、必要な対応をしなければなりません。
それは当然です。
ただ、運営する立場から見ると、
オーナー様も本当に大変なんです。
まず、駆除費用がかかります。
家具や寝具を処分すれば、買い替え費用もかかります。
さらに、営業できない期間の売上がなくなります。
今回のように約1か月かかれば、その影響は決して小さくありません。
しかも、Airbnbの掲載停止や予約キャンセルなどが重なれば、さらに大きな問題になります。
オーナー様は、普通に宿泊施設を運営していただけです。
日頃から清掃を行い、宿泊者様をお迎えしていた。
そこへ、外部からトコジラミが持ち込まれた可能性がある。
それでも、発生後の対応や費用負担という現実が待っています。
私は当時、
「これはオーナー様が気の毒すぎる……」
と思いました。
もちろん、宿泊者様の安全を考えれば、営業を止めてでも対応する必要があります。
でも、オーナー様からすれば、予想もしていなかった出費です。
しかも、駆除費用だけではありません。
売上がなくなることも、大きな損失です。
トコジラミは、虫そのものよりも、発生したあとの影響が本当に大きい。
私たちは、このときそれを実感しました。
トコジラミを100%防ぐ方法はあるのでしょうか?
もし、確実に防ぐ方法があるなら、私もぜひ知りたいです。
本当に(笑)。
でも、宿泊施設の運営において、トコジラミの持ち込みを100%防ぐことは難しいと思っています。
宿泊者様のスーツケースの中まで、私たちが確認するわけにはいきません。
衣類や荷物に虫が紛れていても、外から見ただけでは分からないことがあります。
だからこそ、私たちは、
発生を完全に防ぐことよりも、できるだけ早く気づくことが大切
だと考えています。
例えば、清掃時にベッド周辺の状態を確認する。
マットレスの縫い目やベッドフレームに、不自然な汚れや虫の痕跡がないか注意する。
宿泊者様から虫刺されの申告があれば、決めつけずに状況を確認する。
必要であれば、専門業者さんに調査を依頼する。
こうしたことです。
もちろん、虫に刺されたというだけで、トコジラミと断定することはできません。
蚊やダニなど、ほかの原因も考えられます。
反対に、
「毎回清掃しているから、トコジラミはいません」
と言い切ることもできません。
大切なのは、疑わしい状況があったときに、きちんと確認できることだと思います。
Airbnbへの説明にも、記録が必要でした
今回の経験で、もう一つ大切だと感じたのが、記録を残すことです。
トコジラミが疑われた場合、現地の対応だけでなく、AirbnbなどのOTAとのやり取りが必要になることがあります。
私たちが経験した当時は、Airbnbから駆除を行ったことの証明を求められました。
そのため、専門業者さんに対応していただくだけでなく、作業内容や駆除の状況を説明できるようにしておく必要がありました。
いつ申告があったのか。
現地で何を確認したのか。
専門業者さんにいつ来ていただいたのか。
どのような処理を行ったのか。
その後、どのように確認したのか。
こうした情報は、後から整理しようとすると意外と大変です。
現場では虫の対応に追われていますし、予約のことも考えなければなりません。
正直、やることが多いんです。
だからこそ、最初から記録を残しておくことが大切だと学びました。
現在、Airbnbやその他のOTAがどのような対応を行うかは、規約や個別の状況によって異なります。
今回の掲載停止や駆除証明の提出は、あくまでも当時の経験です。
ただ、
何かトラブルが起きたときに、事実を説明できる資料があること。
これは、今の宿泊運営でも大切だと思っています。
あの一か月で、ずいぶん勉強させていただきました
当時の私たちは、トコジラミについて十分な知識があったわけではありません。
専門業者さんにお願いすれば、比較的早く解決すると思っていました。
でも、実際には違いました。
卵が残っている可能性。
狭い隙間に隠れる習性。
繰り返しの処理が必要になる場合があること。
家具や寝具の扱い。
そして、Airbnbへの説明や営業再開の判断。
次から次へと、考えることが出てきました。
最初は専門業者さんにお願いしましたが、その後は自分たちで対応を続けました。
今考えると、なかなか思い切った判断だったと思います。
でも、当時は、
「何とかしなければ」
という気持ちでした。
駆除が終わったと思ったら、また確認が必要になる。
その間にも、予約のことを考えなければならない。
なかなか気の休まらない一か月でした。
ただ、あの経験があったからこそ、今はトコジラミが疑われたときに、まず何を確認するべきかが分かります。
どのような専門業者さんに相談するべきか。
どのような記録を残しておくべきか。
営業再開を急ぎすぎてはいけないこと。
そうした判断材料が増えました。
もちろん、施設によって被害の範囲も構造も違います。
同じ方法で必ず解決するとは限りません。
でも、
一度経験していることと、何も知らないことでは、初動の対応が大きく変わります。
これは、宿泊運営を長く続ける中で感じることです。
できれば、トコジラミの経験値だけは増やしたくありませんが(笑)。
最後に|南京虫とは、できれば二度と戦いたくありません(笑)
民泊や貸別荘の運営では、さまざまなトラブルが起こります。
設備の故障。
鍵の紛失。
水漏れ。
騒音。
忘れ物。
いろいろあります。
でも、私の中でトコジラミは、なかなか印象に残っているトラブルの一つです。
早朝の英語の電話から始まり、
Airbnbの掲載停止。
予約キャンセル。
専門業者さんによる最初の駆除。
それでも終わらず、自分たちで続けた対応。
家具や寝具の処分。
そして、約1か月の営業への影響。
本当に、いろいろなことがありました。
何より大変なのは、トコジラミの発生を完全に防ぐことが難しいという点です。
どれだけ清掃を頑張っていても、宿泊者様の荷物などを通じて持ち込まれる可能性があります。
そして、一度発生すると、宿泊者様だけでなく、オーナー様にも大きな影響が出ます。
だからこそ、発生したときにどう対応するかが大切なのだと思います。
宿泊者様からの申告をきちんと確認する。
必要に応じて専門業者さんに調査をお願いする。
駆除や再確認を適切に行う。
そして、オーナー様にも状況を説明する。
当たり前のことかもしれません。
でも、実際に経験してみると、その当たり前を一つずつ進めることが、どれほど大切か分かります。
民泊や貸別荘の運営は、予約を入れて、清掃して、お客様をお迎えするだけの仕事ではありません。
予想していなかったトラブルに対応することも、運営会社の大切な仕事です。
あの朝の、
「Bed bugs!」
という電話は、今でも忘れられません。
できれば今後、電話の向こうから聞こえてくる英語は、
「Thank you! We had a wonderful stay!」
くらいにしていただけると嬉しいです(笑)。
このコラムについて
本コラムは、株式会社PROGRESS WORKS 管理部長・宅地建物取引士の柳瀬が執筆しています。
民泊・宿泊運営に10年以上携わり、宅地建物取引士として民泊不動産・民泊可能物件・中古ヴィラ・貸別荘・旅館業許可付き物件・土地探しなどの不動産分野に関わるとともに、宿泊事業ではゲスト対応・現地対応の統括、OTA掲載、WEB・情報設計、運営スキーム構築など、運営全体の設計・統括を担当しています。
今回ご紹介したのは、コロナ禍以前に実際に経験したトコジラミ被害です。
宿泊者様からの申告をきっかけに、Airbnbの掲載停止や予約キャンセルが発生し、最初の専門業者による駆除後も問題が解決しなかったため、その後は自分たちで対応を続けました。
家具や寝具の処分なども行い、約1か月にわたる対応となりました。
なお、Airbnbの対応については当時の経験に基づくものであり、現在の運用を示すものではありません。また、トコジラミの駆除方法は施設の構造や被害状況によって異なるため、実際に発生が疑われる場合には専門業者への相談が必要です。
PROGRESS WORKSでは、日々の宿泊運営だけでなく、設備の不具合や衛生上の問題、予期せぬトラブルへの対応も含めて、オーナー様の大切な施設を管理しています。
できれば起きてほしくないトラブルにも、起きてしまったらきちんと向き合う。
これからも、現場で積み重ねてきた経験を大切にしていきたいと思っています。


