ヴィラ・貸別荘・民泊の運営会社選び|現地に来ない会社で本当に大丈夫?

ヴィラ・貸別荘・民泊の運営会社選び最も重要なのはフットワークの軽さ。
現地に来ない運営会社で本当に大丈夫?
「契約する前は、何度も現地に来てくれていたんですけどね。」
ヴィラや貸別荘の運営会社を切り替えたいというオーナー様から、ときどきこんなお話を伺います。
運営をお願いする前は、担当者が現地まで足を運び、施設を見ながら丁寧に説明してくれた。設備について相談すれば親身に話を聞いてくれて、これからの運営にも期待が持てたそうです。
ところが、いざ運営が始まると、担当者が現地に来なくなった。
半年が過ぎても、一年が過ぎても、訪問がない。
何か問題があって連絡しても、対応するのは現地の清掃スタッフや外部業者ばかり。運営会社の担当者自身は、施設の状態を直接確認していないというのです。
契約前にはあれほど軽かったフットワークが、運営開始と同時に急に重くなってしまったのでしょうか。
私たちは、ヴィラ・貸別荘・民泊の運営会社を選ぶうえで、フットワークの軽さは非常に重要な要素だと考えています。
もちろん、予約管理や宿泊者対応、料金設定など、パソコンがあればできる仕事もたくさんあります。
しかし、宿泊施設はパソコンの画面の中にあるわけではありません。
実際の建物があり、設備があり、家具があり、そこでお客様が過ごされています。
だからこそ、運営会社が現地を知っていること、そして必要なときに現地へ足を運べることは、思っている以上に大切なのです。
遠隔運営ができることと、現地に行かなくてよいことは違う
現在の民泊運営は、以前に比べて遠隔で対応できる業務が増えました。
セルフチェックインの導入により、スタッフが現地で鍵をお渡しする必要がない施設も多くあります。
予約管理や宿泊者様とのメッセージのやり取り、OTAの料金調整、清掃会社への連絡なども、離れた場所から行うことができます。
遠隔運営そのものは、決して悪いことではありません。
むしろ、効率的に運営するためには欠かせない仕組みです。
ただし、遠隔で運営できることと、運営会社が現地に行く必要がないことは、まったく別の話だと思っています。
例えば、宿泊者様から「浴室のドアが閉まりにくい」という報告があったとします。
メッセージで状況を確認し、必要に応じて修理業者を手配することは、遠隔でも可能です。
しかし、実際にドアの状態を確認してみると、建具の調整だけで済む問題なのか、部品の交換が必要なのか、あるいはほかの箇所にも不具合があるのか、より具体的な状況が分かることがあります。
もちろん、すべての不具合に運営会社の担当者が駆けつける必要はありません。現地スタッフや専門業者と連携して対応する方が適切な場合もあります。
それでも、施設の状態を自分たちの目で把握する機会がなければ、運営会社はいつまでも報告された情報だけを頼りに判断することになります。
現地に行かない運営が長く続くほど、施設の実際の状態と、運営会社が把握している状態に差が生まれてしまう可能性があるのです。
契約前には来てくれたのに、運営開始後は一度も来ない
運営会社の切り替え相談で、私たちが気になるのはこの部分です。
契約前に現地へ足を運ぶのは、当然ながら大切なことです。
施設の立地や設備、間取り、宿泊者様の動線などを確認しなければ、適切な運営方法を考えることは難しいでしょう。
しかし、現地確認が必要なのは、契約前だけではありません。
むしろ、運営が始まってからの方が、初めて分かることもたくさんあります。
実際に宿泊者様をお迎えしてみると、想定していなかった設備の使いにくさが見つかることがあります。
清掃スタッフから、作業しにくい場所や備品の配置について相談を受けることもあります。
レビューには書かれていなくても、改善した方がよいと感じる部分が見つかるかもしれません。
こうしたことは、開業前の一度の確認だけでは分からないものです。
それにもかかわらず、契約前には何度も現地を訪問していた担当者が、運営開始後はまったく来なくなる。
オーナー様からすれば、不思議に感じるのも当然だと思います。
運営開始は、現地確認の終わりではありません。
本当の意味で施設を理解するのは、運営が始まってからではないでしょうか。
日本は、そんなに広くないと思うのです
私たちは大阪を拠点に、さまざまな地域の宿泊施設の運営に携わっています。
当然ながら、すべての施設が事務所の近くにあるわけではありません。
車や電車で移動しなければならない施設もありますし、現地訪問には時間も費用もかかります。
それでも、私たちは現地へ足を運ぶことを大切にしています。
なぜなら、運営している施設の状態を把握することも、運営会社の仕事だと考えているからです。
少し極端に聞こえるかもしれませんが、私はよく思うのです。
日本は、そんなに広くない。
もちろん、遠方の施設へ行くには移動時間が必要ですし、すぐに駆けつけられない場合もあります。
ただ、年に一度も訪問できないほど、日本は広いのでしょうか。
運営を任されている施設が遠方にあるからといって、何年も現地の状態を確認しないことが当たり前になってしまうのは、私たちの考える運営とは少し違います。
遠いからこそ、訪問する機会を計画する。
現地へ行くのであれば、設備の状態だけでなく、周辺環境や清掃状況、改善できる部分まで確認する。
一度の訪問を、今後の運営に役立てる。
そうした姿勢が大切だと思っています。
現地を見なければ、施設の小さな不備に気づけない
宿泊施設には、日々少しずつ変化が起こります。
開業時にはきれいだった家具にも、使用感が出てきます。
ドアの開閉が重くなったり、水回りの部品が劣化したり、屋外の設備に傷みが出てきたりすることもあります。
特にヴィラや貸別荘は、建物の面積が広く、設備の種類も多い傾向があります。
庭やテラス、プール、サウナ、BBQ設備などを備えている施設では、室内だけでなく屋外の状態も確認する必要があります。
こうした設備の変化は、必ずしもすぐに故障として表れるわけではありません。
まだ使えるけれど、そろそろ修繕を検討した方がよい。
今は大きな問題ではないけれど、宿泊者様が不便に感じるかもしれない。
そのような小さな変化に気づくことが、施設の品質を維持するうえで重要です。
もちろん、日常的な清掃や設備点検は、現地の清掃スタッフや専門業者との連携によって行います。
しかし、運営会社自身も定期的に施設を見ることで、報告書や写真だけでは分からないことに気づける場合があります。
そして、見つけた不備をオーナー様に報告し、必要な修繕や改善を提案する。
これも運営会社の大切な役割だと思います。
清掃会社に任せているから大丈夫、ではない
現地に行かない理由として、清掃会社や現地スタッフに管理を任せているという説明を聞くことがあります。
もちろん、清掃会社との連携は宿泊運営に欠かせません。
私たちも、日々の清掃や備品の確認、不具合の報告など、多くの場面で清掃スタッフに支えていただいています。
ただし、清掃会社と運営会社では、担っている役割が異なります。
清掃スタッフは、次の宿泊者様をお迎えできる状態に整えることが主な仕事です。
一方、運営会社には、施設全体の品質や収益性を考え、必要な改善をオーナー様へ提案する役割があります。
例えば、清掃スタッフから「この家具は掃除がしにくい」という報告があった場合。
その情報を受け取るだけでなく、実際の配置を確認して、家具の移動や交換を検討することもできます。
宿泊者様から同じ設備について何度も質問がある場合には、現地で使い勝手を確認し、案内方法や掲示物の改善を考えることもできるでしょう。
現地スタッフからの報告は非常に重要です。
しかし、報告を受け取ることと、施設全体を把握することは同じではありません。
現地スタッフに仕事を任せることはできても、運営会社として施設を理解する責任まで任せきりにしてはいけない。
私たちは、そのように考えています。
現地訪問は、売上を伸ばすヒントにもなる
現地へ行く目的は、不具合を探すことだけではありません。
実際に施設を見ることで、集客や売上の改善につながるヒントが見つかることもあります。
例えば、写真では十分に伝わっていない眺望があるかもしれません。
テラスの家具の配置を少し変えるだけで、過ごしやすさが大きく変わることもあります。
宿泊者様が魅力に感じそうな設備があるのに、予約サイトではほとんど紹介されていない場合もあるでしょう。
反対に、写真では魅力的に見えていても、実際に訪問すると改善した方がよい部分が見つかることもあります。
施設の魅力を理解するためには、現地で体験することが大切です。
特にヴィラや貸別荘は、単に眠る場所を提供するだけではありません。
家族や友人と過ごす時間、景色、設備、プライベートな空間など、施設そのものが旅行の目的になることもあります。
だからこそ、運営会社がその施設の魅力を理解しているかどうかは、集客にも関わってきます。
現地を見て、施設の強みを見つけ、それを写真や掲載内容、販売方法に反映させる。
こうした改善は、予約サイトの管理画面を見ているだけでは思いつかないこともあるのです。
年に一度も現地へ来ない運営会社でよいのでしょうか
施設の規模や設備、立地によって、必要な訪問頻度は異なります。
プールやサウナなどの設備が多いヴィラと、比較的設備がシンプルな都市型民泊では、管理上の注意点も違います。
また、日常点検を担う現地スタッフの体制によっても、運営会社が訪問すべき頻度は変わるでしょう。
そのため、すべての宿泊施設に一律の訪問回数を求める必要はないと思います。
ただ、私たちとしては、少なくとも年に一度は、運営会社自身が現地を確認する機会を設けるべきではないかと考えています。
もちろん、年に一度訪問すれば、それだけで十分という意味ではありません。
不具合が発生した場合や、施設の改善が必要な場合には、それに応じた対応が求められます。
大切なのは、訪問回数を形式的に満たすことではなく、現地の状態を継続的に把握することです。
一年間、運営会社の担当者が一度も現地に来ない。
その間に、施設の設備や家具、周辺環境は少しずつ変わっていきます。
清掃会社から報告がなければ、その変化に気づかない。
オーナー様から指摘がなければ、改善の検討も始まらない。
そのような運営体制では、長期的な施設管理に不安が残ります。
宿泊施設は、日々お客様が利用する建物です。
運営会社が定期的に現地を見て、必要な改善を考えることは、決して特別なサービスではないと思うのです。
運営会社を選ぶときは、契約後の訪問体制を確認してほしい
これからヴィラや貸別荘、民泊の運営代行会社を選ぶオーナー様には、ぜひ確認していただきたいことがあります。
それは、契約前に何回来てくれるかではなく、契約後にどのような体制で現地を管理してくれるのかという点です。
契約前の現地調査は、どの会社にとっても重要な営業活動の一つです。
施設の魅力を確認し、運営方法を提案するために、担当者が現地を訪れることは珍しくありません。
しかし、本当に確認したいのはその先です。
運営開始後、担当者はどの程度の頻度で現地を訪問する予定なのか。
設備の不具合が発生した場合には、誰が現地を確認するのか。
清掃会社から報告された問題は、どのように管理されるのか。
施設の改善点を、運営会社から提案してもらえるのか。
遠方の施設であれば、緊急時にどのような現地対応体制があるのか。
こうしたことを、契約前に具体的に確認しておくと安心です。
「全国対応しています」という言葉だけでは、実際の管理体制までは分かりません。
全国対応できることと、全国の施設を適切に管理できることは、同じではないからです。
遠隔運営を前提とするのであれば、なおさら現地スタッフとの連携や定期的な訪問計画が重要になります。
フットワークの軽さは、単なる行動力ではない
私たちが考えるフットワークの軽さとは、何か問題が起こるたびに、とにかく現地へ駆けつけることではありません。
必要なときに動けること。
現地を確認する必要があると判断したら、実際に行動に移せること。
そして、問題が起こる前にも、施設の状態を把握し、改善できる部分を探すこと。
そうした姿勢を含めて、フットワークの軽さだと考えています。
もちろん、移動には時間も費用もかかります。
すべての施設へ頻繁に訪問することが、必ずしも効率的とは限りません。
ただ、効率を優先するあまり、現地を知らないまま運営を続けることには違和感があります。
運営会社は、予約管理だけを行う会社ではありません。
施設の状態を把握し、品質を維持し、必要な改善を提案しながら、長く運営を続けていくためのパートナーであるべきだと思います。
ヴィラや貸別荘は、オーナー様にとって大切な資産です。
その資産を任されている以上、画面の中の予約状況だけでなく、実際の建物にも目を向ける必要があります。
最後に|契約前のフットワークより、契約後のフットワークを見てほしい
ヴィラ・貸別荘・民泊の運営会社を選ぶ際、料金や集客力、対応できるOTAの数など、比較したいポイントはたくさんあります。
もちろん、どれも大切なことです。
ただ、私たちはそれと同じくらい、あるいはそれ以上に、フットワークの軽さを重視しています。
運営開始前には何度も現地に来てくれたのに、契約後はまったく来なくなった。
一年以上、担当者が施設を見に来ていない。
そんなお話を伺うと、私たちは少し不思議に感じます。
遠隔運営が便利になった今だからこそ、現地へ足を運ぶことの価値は大きいと思うのです。
現地に行けば、設備の不具合に気づくかもしれません。
宿泊者様の使い勝手を改善できる部分が見つかるかもしれません。
施設の魅力を再発見し、集客につながる新しい提案が生まれるかもしれません。
もちろん、現地へ行くだけで運営がよくなるわけではありません。
大切なのは、訪問して何を確認し、何を改善するかです。
それでも、現地を見ないままでは、気づけないことがあるのも事実です。
私たちは、運営会社が現地へ足を運ぶことを、特別なことだとは考えていません。
自分たちが運営を任されている施設を、自分たちの目で確認する。
それは、宿泊施設の運営に携わる者として、ごく自然なことではないでしょうか。
日本は、そんなに広くありません。
少なくとも、一年に一度も現地を見に行けない理由には、ならないと思っています。
これから運営会社を選ぶオーナー様には、契約前の丁寧な説明だけでなく、契約後も変わらず施設に向き合ってくれる会社かどうかを、ぜひ見極めていただきたいと思います。
このコラムについて
このコラムは、民泊・貸別荘・ヴィラの運営に携わる株式会社PROGRESS WORKSの管理部長であり、宅地建物取引士でもある柳瀬が、日々の宿泊運営やオーナー様からいただく運営会社の切り替え相談をもとに執筆しています。
宿泊施設の運営では、予約管理や宿泊者対応など、遠隔で行える業務が増えています。一方で、施設の状態を把握し、不具合や改善点を見つけるためには、実際に現地へ足を運ぶことも大切だと考えています。
本記事では、運営開始後に現地へ来なくなったというオーナー様の声をきっかけに、運営会社に求められるフットワークの軽さや、長期的な施設管理における現地確認の重要性についてお伝えしました。
これから運営代行会社を選ぶオーナー様や、現在の管理体制に疑問を感じている方にとって、運営会社を見極める一つの参考になれば幸いです。


